しようね☆W〜パラダイスナイト☆〜(6)
エピローグ。
―――そして、その後、
取り急ぎ買い物を終え、帰宅した俺たち。
「ひゃ〜、遅くなっちゃったねー。もー寝ちゃったかな、あのコたち……」
やや慌てた口ぶりで、玄関で靴を脱ぐらいか。その言葉どおり、確かにだいぶ遅くなってしまったが……。
ともあれ、
「ただいま〜、遅くなってごめ………………………」
リビングのドアを開けて――
「………………………。」
「………………………。」
俺たちは、完全に言葉を失った………。
……え…えっと、こ…こーゆー状態を言い表す比喩としては、あまりにも月並みで申し訳ないのだが、それ以外言葉が見つからないので、あえて言わせていただく。
――まるで震災か爆撃にでも見舞われたように……。
そう――、リビング…いや、その奥に続く寝室を含めて、室内は壊滅状態に陥っていた………。
むろん、しーんと静まり返った空間に唱和する寝息の主たちの様子から、その顛末は容易に想像できた。
―おそらく、俺たちが出かけたあの後、らいかの後輩――こぉの、お気楽ハッピー三人娘!、によって、相当派手な騒乱の宴が繰り広げられたのだろう。
あまり、改めて言う気も起きないが、一応ざっと、現状を説明するとすれば……
現在、転がる空のワインボトルやビールやジュースの空き缶、またポテトチップスなどお菓子の空き袋…その他諸々の雑多なものが散乱し、本気で足の踏み場がなくなっているリビング。
そんな中、わずかに空いたスペースに、ぱんつ丸見えだが色気もへったくれもない、『あーあー、おとーさんが見たらマジで泣くぞ』的な格好で惰眠むさぼるよっぱらい女ふたり…。
そして、残る一人は、と目を移せば、開け放たれたドアの向こう、今晩らいかと俺が仲良く寄り添って眠るはずだった寝室のベッドに、誘惑や挑発などといった言葉からはほど遠い、はみだした一本の白い足がだらしなくぶら下がっている……。
また、その他キッチン等はまだ未確認だが、その辺に関しては……もぉ推して知って欲しい。想像だにするだけで頭くらくらしそうなので………すいませんお願いします。はしょらせてください……。
「………。」
ともあれ、だらり下がった両手に買い物袋をぶら下げたまま、しばしぼーぜんと佇む俺とらいか。
「……………え…えーっと……。ね…寝るトコ………ない……ね……」
「………あ…ああ。」
ようやくしぼりだされた、らいかの無気力な声に、その惨状を見つめ、あぜんとした口調で答える俺。
…どーしろとゆーんだ…コレ……。
手のつけようもないこのありさまに、もはや怒りも呆れも通り越し、マヒしかかった思考力をなんとか振り絞ってみる俺。
とりあえず、この三人たたき起こして――――などというテはむろんボツ。
こんなよっぱらい、たたき起こしたところで使いモンになるわけはないし、かえってよけーにややこしいことになるのは目に見えている………。
では…それなら…
「……どーする…?…たけあき……」
思い悩む俺の耳に、沈痛ならいかの声が届く。
「…い…いや……どーするって言われても……」
もう気絶してしまいたい気分になるのを何とかこらえ、しんそこ困って答える俺。
とりあえず、一服でもして気持ちを落ち着けようと、手にした買い物袋を下ろし、スゥエットのポケットに手を突っ込んで………
……ちゃら。
あ。
ポケットの中、指先に触れたキーホルダーの感触……同時にある考えが俺の頭によぎる。
…うーん。けどなぁ……自分ちの駐車場でオートキャンプっつーのも……。それにそもそもらいかが何て言うか……。……いやでもホントに寝るトコないし………。
などと、自問自答を繰り返した挙句、
「………」
結局俺はためらいつつも、おずおずとらいかの方を向き、取り出した車のキーをらいかの前でちらつかせた。
「……?」
一瞬何のことだか分からずきょとんとするらいかだが、
「…あ☆ いーじゃん。そーしよーよ☆」
すぐに察して、また意外にも好反応を示した。
「え…で…でも………」
そして、かえってそんな反応に戸惑ってしまう俺に、
「ってゆーか、それしかないでしょ? ん…そーと決まれば、お布団持ってかないとね。まだ寒いから。
確か――お客さん用のお布団…押入れに入ってたよね?あ…たけあきは、そのコたちにバスタオルでもかけてやってて……。あたし準備するから」
こうして、なにやら楽しげにさえ聞こえる口調で告げ、さくさくと準備(?)を進めていくらいか、
うーむ、立ち直りが早い…ってゆーか逆境に強い奴………と、そーゆーことなら、俺も準備しなきゃ。
などと、てきぱきとしたらいかの行動に感心しつつも、俺は肝心なことを思い出し、爪先立ちで騒然としたリビングの中に歩を進めていく。
パソコンが載った奥の机に近づいていき、鍵の掛かった引出しを開け……
おお…そうそう、そーゆーコトになるなら、なにはともあれ『コレ』忘れちゃいけないよな☆
俺は手にした『円形がぴったり貼り付いた正方形の袋』を二つ三つ(笑)おもむろにポケットに押し込んで……
にやっ。
と、またしてもやーらしい笑みを浮かべるのであった(^^;
……そう、俺とらいかの楽園的夜☆。まだまだ終わらせる気はない……☆
おしまい(^^;