しようね☆]V〜飢えた狼サンは最後のツメが甘い…?〜

(1)

 

「え…?ちょ…たけあき? まだ…するの…?」

「…へ…?」

多少…いや、かなり驚いた様子で言ったらいかの声で、俺は我に返る……。

瞬間、おぼろげだった視界が明転し、眼下10センチほどの距離に、驚きと不審が入り混じったようならいかの顔……。

……え…?あ、アレ…?な…なんだ…?

と同時に、霞がかかっていたような思考が徐々に鮮明になっていき、現在の状況が把握できるようになってくると―――

え…えーっと……な…なに…この状況…?

気づけば―――、俺は、横たわるいかの身体にのしかかり、甘い香りのする首筋に唇を寄せてふくよかな乳房をやわやわともみしだいていた。

ちなみに、俺たち二人の格好はというと、俺は上半身にTシャツ一枚、下半身がすーしているところから、ーやらズボンはおろか

パンツもはいていないようで……(汗)

 また、ほとんど俺が羽交い絞めにしているようならいかも、かろうじてブラウスを羽織ってはいるものの、フロントのボタンは全開。

はだけた胸元には、首元までたくし上げられたブラと豊かな両の乳房が完全に露出している状態。

 さらに、ちらり下方へと目を向ければ、なめらかな曲線を描くくびれたウエストの上に、捲り上げられ帯状になっている黒いタイトスカート。

 そこから伸びる艶めかしいカーブを描いたヒップラインとまぶしいまでの白い肌。そして、淡い陰りをみせる股間には何も覆うものはなく、

代わりに、おそらくそこにあったのであろう、薄いグリーンのショーツが左足の足首あたりでくしゃっとなってひっかかっている……。

 まさに、ごくりっと生唾を飲み込んでしまいそうならいかの乱れ姿……ちょいと見方を変えればレイプ後のようならいかの様相だが……

……こ、こりはー考えても俺の仕業…だよ…なぁ…。え…えーと…何? ひ…ひょっとして…ナニカ…俺……シャレになんないことを……?

「……っ!?」

 などと、ちょっとコワ考えに至ったことで、さらに俺の思考が一気に覚醒していき……

 ……あ。そ…そっか…!

 閃くように甦った記憶で、ここに至るまでの事の顛末を理解し、俺はようやく得心する。

 そう、改めて説明するほどのことではないだろーが―――

 

 現在(ただいま)、休日前の久しぶりにいかと二人で過ごす夜。

 ここのところ、突然の俺への来客やらいかの出張、その他もろもろの事情でいかとたりっきりで過ごすのは、ほぼ1ヶ月ぶりだった。

 また当然、こーしてらぶらぶえっちな展開になるのもひと月ぶり…とーワケで……

 加えて、久しぶりの二人の時間のお祝いーことで、夕食は張り切りまくって作った大ごちそう☆―――特に、スタミナのつきそうなメニューを

らいかに気づかれぬよう巧妙に織り交ぜテーブルに並べたし、奮発して、らいかの大好きなシャンパン、ヴーヴクリコをするっと2本開けてしまったのも

変に効いてしまったのかもしれない。

 ともあれ、ひと月ぶりの滾りまくっていた欲情に加え、自ら作ったスタミナメニューと口当たりがいいわりに結構効くアルコールの相乗効果により、妙なテンションの

上がり方をしたまま、まさしく俺はケモノのようにいかに襲いかかり…………

 ……あ、あー…いやでも、らいかだって「きゃー☆」とかって、ふざけた悲鳴を上げてかりそめの抵抗をしたりなんかして、けっこうノリノリだったし……

 と、とにかく…『そーゆー』好材料(?)が揃いまくった状況も過分に手伝って、俺は沸騰して煮えくり返った欲望のまま、たて続けに2度3度とらいかを求めていった…のであろう。

 いやもう…最高に気持ちよかったことと、ふざけて抵抗しながらも激しく乱れるいかの表情が可愛かったことを、夢見の時のように断片的にしか覚えていないだけど…。

…ん〜〜〜む…………。

 また、過ぎた興奮が冷め、次第に頭が冴えてくると、掌に伝わるやわらかな乳房の感触、甘く鼻をくすぐるいかの香りがより鮮明になり、

「………。」

同時に先ほどのいかの乱れっぷりや可愛い表情を思い出してか、すでに何度か放出したのであろうが―――俺は再度、自らの中心に熱いモノが蘇ってくるのを感じ始めていた。

 と、ここで、

「ね…ねえ…たけあき?」

 しばしぼーっとしたまま、固まっていた俺を訝るいかの声。

「あ…ああ…な、何?」

 やや慌てつつ平静を装いつつ応える俺に、

「いや…だから、まだする気なの…って聞いただけど…………えーっと…聞くまでもないみたいだね……」

「……え?」

 戸惑いからあきれた口調に変えつつ言うらいかの言葉に、自らの四肢の感覚を辿ってみると、

 ……あ。ほんとだ。

 おかしな話だが、おそらくーっとしてる僅かな間に、意志と欲望にズレが生じてたのではないだろうか、らいかの乳房の上に乗せられてた5本の指が無意識のうちに、

わきわきと動いており、むにむにと揺らぐその豊かな弾力の感触を俺の意志に先んじて勝手に楽しんでいた。

 だがまあ、これは当然不本意なことではない。

…ま、ーことなら、それに合わせていきましょ

俺はズレ先走る欲求に意識のほうを追随させるように、自動操縦(オート)で動いていた5本の指をマニュアルに切り替え、次第に明確な意思を持った愛撫の動きに変えていく。、

 同時に、

「ん…ちゅ…あむ…ん…ん……」

 俺はらいかの首筋から胸元へと食むようなキスを降らせていき……

「ん…あ…あ…っ…ちょ…待っ……んぁ…」

 おそらく、すでに二、三度致していたことで、らいかの身体は自身が思うより『出来上がって』いたのだろう、再び熱の込もり始めた俺の愛撫に、らいかは予想以上に反応し、

「ん…ふぁ…あ…っ…はぁ・・あ……ア………ぢゃなくて!ちょ…待って、たけあきっ!」

再度走り始めた快感に流されそうになり、甘いため息を漏らし始めながらも、らいかは寸でのところでそれを堪え、やや強い口調で俺の両肩をつかんで、なおエスカレートする俺の動きを妨げる。

「んぅ…っ…なんだよ?」

 どうも演技ではない抵抗をするいかに、俺は不本意ながらも愛撫の手を止め、豊かな胸に顔をうずめたままいかの顔を見上げる。

 するといかは、そんな俺にやや臆した様子を見せつつも、

「あ…あー、いや…だから……1ヶ月以上もおあずけ喰ったたけあきが、あの程度で満足するとは思ってないけど……」

 言いつつらいかは、俺の手が緩んだのを見計らい、身体を起こして、

「んっと…ほら、いきなりあんな激しくするから服…ぐしゃぐしゃだし、2人とも汗びっしょりでベタベタして気持ち悪いよ。

 それにココ…キッチンの床だから、背中痛いし……」

「…へ?……あ…。」

 そーいや、メシ食って酒飲んだ後、その勢いでシちゃったんだっけか……

 落ち着いてよくよく辺りを見回してみれば、俺のジーンズやトランクス、らいかのカーディガンやストッキング等…今身に着けているもの以外の2人の着ていた服があちこちに脱ぎ散らかされており

敷いてあったキッチンマットはよれてたるんだ状態になってるし、果てはテーブルのイスがひとつひっくり返っている…。

 加えて、汗でベトついた肌に、ところどころわたボコリがまとわりついてるし……。

 ……どんだけ激しいえっちをしただ?俺は……?

 鬱積した欲望を果たすためトランス状態になっていたとはいえ、自らの行いにあきれ、しばし呆然としていると、

「ね…だから、とりあえずシャワーでも浴びてさっぱりしーよ。で……続きは、そのあとゆっくり…ってコトで…ね…

 苦笑しながら言いつつ、どこか照れくさそうに頬を染めるいか。

 う…。なんかすっげーカワイイ…。

 俺は、そんならいかにちょっとドギマギしつつ、

「あ…ああ…うん。じゃ…一緒に入ろうぜ?」

「え〜〜〜」

 だがいかはそんな俺の言葉に、あからさまに渋い顔を見せ、不安と不満の入り混じった『えー』を発する。

 まあ…この流れで一緒にフロに入れば、またぞろエロ展開になるのは火を見るより明らかで、シャワーでサッパリした後、ベッドでゆっくりいちゃいちゃしたいらいかにとっては、

不本意極まりないのだろうが……

 コレばっかりは、俺にもちゃんと理由がある。

「いや…だって、どっちが先にフロ入っても、俺が入ってる間に、らいか寝ちゃうじゃん。ほぼ100%の確率で」

「ひゃ…100%とまで? い…いやそんなこと……」

 否定しかけて、だが急速にしどろもどろの口調になるいか。

 そこへ俺はすかさずたたみかけるように、

「じゃ、100%、絶対寝ないって言える?」

「あ…え…えーっと、それわ…その……言えない…かも……たぶん…寝ちゃう…と、思う……」

 虚空へと目を泳がせつつ、何やらぼそぼそと消え入りそうな声で言うらいかに、

「じゃ…ここで問題です。ひょっとしてエロコトしちゃうかもしれないけど、その後ちゃんとお姫様だっこでベッドまで運ぶことが保証されてる俺と一緒にシャワー浴びるのと、

ほぼ100%の確率でイチャイチャできずに、そのまま寝ちゃって、明日の朝を迎えて、後悔しまくるのとどっちがいい?」

「え…?えっと……う……う〜〜〜ん……」

 我ながら、アホな選択を迫ってるなーとか思いつつも、らいかはしばし考え込んだ様子を見せた後、結局、

「う…う〜〜〜。じゃ…じゃあ、いっしょに…入ってあげる…」

「おー。」

 よっしゃ☆

 気楽な声を上げつつ、心の中で渾身のガッツポーズをする俺。 

「で…でもっ、そんかしおフロえっちはほどほどにしてね…!メインはおフトンでの…えと……ふにふに……なんだからね!」

 やや強い口調ながら、なぜか肝心なトコはぼかしつつ俺にクギをさすらいか。

 あ…あ〜。こっちもほぼ100%でエロいこされんの覚悟の上なワケね……。ん〜、それはそれでつまんない……いやいや、ーシチュなら、それはそれで……

 などと、いろいろ考えつつも、

「あーはいはいわかったわかった

 やはり俺は、お気楽な返事で返しつつ、らいかの背をバスルームへと押した。

 

 

(2)へつづく