しようね☆]〜すぺしゃるばーすでぃ☆〜

(4)

 

かちゃ。

「………た…たけあき〜」

部屋に戻ってきたらいかは、なにやら沈痛な表情を浮かべていた。

「え…あ…ど…どした?」

ただならぬらいかの様子に、慌てて身体を起こし尋ねる俺。

らいかは、言いにくそうに。また苦しげな笑みを見せつつ…

「う…うん……。あ…あの…ね、えっと……その…………なっちゃった…みたいなの……」

「………え?」

…え…え〜っと……『なっちゃった』…ってことは………つまり…その……あれだよな……うん……。

巡る思考が瞬時に頭の中でつながり…。

………えええええええ〜っ!?

などと、心の中で叫ぶ俺。

………で…でもまあ……こ、こればっかりはしょーがないよな……。

俺は、沈むらいかにゆっくりと顔をあげ、

「そ…そっか……」

落胆の色を見せぬよう、努めて平静を装って答えた。

「あ…あの………ご…ごめんね……せっかく……誕生日なのに……」

俺に対して申し訳ないという気持ちと、自らの身体の不都合に対しての悔しさが入り混じったような表情……。

らいかは肩を落として、顔をうつむかせる……。

「い…いや……いいってば…そんなこと……」

そんならいかの様子にかえって恐縮してしまう俺。

なんか別に言葉をかけようとするが、動揺がそれを妨げ、上手い言葉が見つからない……。

……う〜、ど…どうしたら……。

また、そんな風に俺が困っていると、らいかはさらに涙声で、

「う…うぅ……こ…こんなんじゃ、たけあきに嫌われちゃうぅ〜……」

い…いや、そんなことないって。

……とゆーか、こんなことでそんな風に思われちゃうほどスケベな存在なのか俺わ。らいかの中で……。

いやもう…なんだか…情けないとゆーかなんというか……自らに対してとほほ…な気分になりつつ…

「ま…まあ……いいから、とにかくこっちこいよ。カゼひくぞ…」

俺は複雑な思いを胸に、傍らのフトンを持ち上げ、らいかを招く。

「う…うん……」

うつむかせた目尻を指で軽く拭き、いまだ沈んだ様子で俺の隣に潜り込んでくるらいか。

……ぎゅ☆

身体を丸め俺の胸に顔を埋めると、

「…ぐすっ…ご…ごめんね……たけあき……ごめんね……」

らいかはひたすら、くぐもった声であやまりつづける。

「……い…いやその………」

一方、俺はどんな言葉でらいかをなぐさめていいかわからず、正直困り果てる。

また、そんな俺にらいかは、

「ね…ねぇ……らいかが……らいかがしてあげる……ね」

明らかにムリをしてる笑顔で俺を見上げていた。

………う……。

俺はさらにいたたまれなくなり、

「ば…ばか、いいよそんなのっ!だ…大体今日はらいかの誕生日だろっ!?」

「う……うん…でも……」

やや声を荒げてしまったか、再びしゅんとなるらいか。

…あ、やべ…。

俺はさらに焦り、

「い…いやその……だ…だからだな…こ…こんな日に…そんなことさせたら男が立たないってゆーか……いやもう…立ってるけど……って…そ…そーじゃなくて……そ…その………」

い…いかん……もう頭ン中がぐちゃぐちゃになって、なにがなんだかわかんなくなってる………。

しかし、完全にスベると思われた、そんなベタな俺の態度に…、

「……くす☆」

いまだ弱々しくではあるが、らいかの口から小さな笑みがこぼれた。

………あ…☆

俺の心に光明が一筋差込み、

「ま…まぁ…そーゆーわけだから……とにかく気にすんなよ…な☆」

苦笑を浮かべ、俺はそう言って、らいかの頭をくしゃっと撫でる。

らいかはくすぐったそうに肩をすくめ、一瞬目を閉じ、

「……えへへ☆たけあき…ムリしてるの?」

「ん…?ああ、ちょっと…な」

「らいかのために?」

「……え…?」

まっすぐに見つめてくるらいかの視線に耐え切れず、俺は一瞬戸惑い、

「あ…ああ、まあ……な……」

伏し目がちに目を逸らして、鼻の頭をかきつつ、そう答える。

瞬間。

らいかは、ぱぁぁ〜っ☆と顔を輝かせ、

がばっ!

「えへへっ☆たけあき…だぁぁぁ〜い好きぃっ☆」

勢いよく俺の首にしがみついてきた。

「わわ…っ?え…ら…らいか……お…おい…わぶっ……」

抱きすくめられ…また、突然のらいかの豹変に、慌てる俺。

…でも…ま、まあ…なんだかよくわかんないけど……いつものらいかにもどったようだ。

ほっと息つき……だがしかし…

ちゅ☆……ちゅ☆ちゅ☆ちゅ☆

次いでらいかの激しいキスの雨が舞い降りる。

「んむっ…?ら…らい……んっ…☆…んんっ……」

気持ちが軽くなったところへの、この攻撃…。そしてにわかに立ちこめるらいかの甘い香りと……

むにゅむにゅ……☆

そこかしこに押し当たる柔らかな感触…。

ほわわ〜☆っと浮き上がるような気分と共に、俺の身体は急反応を余儀なくされ……

「んぁ…ら…らいかっ……」

「…あ…きゃ…んっ…」

伸しかかるらいかを強く抱きしめ、身体を入れ替え……っと…い…いかん!…それは禁じ手だ……。

「あ……。ご…ごめん……つい……」

慌てて我に返り、謝る俺に、だがらいかは、

「えへ…ううん…いいの……。ってゆーか……らいか…ね……」

「……ん?」

「き…気持ちよくなりたい……☆」

……って、おいおい…。

「……え…?……で…でも……それは……」

ムチャを言い出すらいかに、躊躇する俺。

「う…うん……そーなんだけど……えっと……ほら…しなくても………ね……?」

はにかんだ笑みを浮かべつつ、もじもじしながら訴えるような視線を俺に向けるらいか。

そしてむろん、その意味がわからぬ俺ではない。

……ま、そーゆーのもいいか…。

「……くす☆」

らいかの可愛い態度に小さく笑い、

「らいか……」

俺は、再度やさしく唇を合わせていった……。

 

(5)へつづく