ロフト・イン・サマー・U
〜月明かりのテラスにて〜

(4)

 

「はぁ…っ……あっ…んっ…ふぅ…ンンッ……!…はぁぁんっ……」

 心の悦びが、痛みをほとんど打ち消し、それが痺れるような、しかし不快ではない

奇妙な感覚に変わった頃……

 真子は全身の力を抜いてすべてを剛に委ねていた。

 両脇に手を付き半身を浮かせた剛が前後に動く度、真子の胸の上で両の乳房が

たわわに揺れる。

「あっ…あ…あぁぅっ! た…剛…あ…ぁ…剛ぇっ…タケぇっ……」

 まるで、闇の中でその姿を探すように、幾度となく剛の名を呼ぶ真子。

 繋がっているその部分は、今も痺れたような感じで、ほとんど感覚はないが、中に

いる剛の存在だけははっきりと感じており、それが動く度に、奥底から込み上がっ

てくる鈍いような鋭いような快感が全身に広がっていく。

 やがて……

「あ…っはぁぁぁ…んっ…た…剛ぇぇぇ…っ!」

 陶酔し切った喘ぎ声を上げ、真子は両手を広げて剛の身体を捕らえにいった。

「わ…んぷっ!? お…おい、動けないだろ…それじゃ……」

 真子の胸元に顔を押し付けられ、剛は両頬でやわらかな乳房の感じながら訴え

る。

「んふふふふ……だーめ。このまま……」

「こ…このまま……ったって……」

「んふふふ、動けるんなら、動いてもいいよ」

 玉の汗が光るその顔で、イタズラっぽい笑みを浮かべる真子。さらに両足も剛の

腰に巻き付け、剛の動きを封じる。

「あ…こ…この……」

「えへへ…ど−したのぉ?」

「く…っ、い…いいぜ…お前がそーいう気なら……」

 そう言って、剛はするり、と床と真子の背の間に手を滑り込ませた。

「え…? あ…っ、な…何…?」

 そして、上体を起こす勢いで、ぐいっと真子の身体を引っ張り上げる。

 そう、つまり座った状態で真子を抱っこした形になったのだ。

「え…え…? あ…やっ…た…剛ぇ……」

 剛の腰の上に乗せられ、向かい合わせになったこの格好が妙に恥ずかしく、躊躇

する真子。

 間近に迫った剛の顔を直視できず、思わずうつむいてしまう。

 が…

「あっ! やあっ! んんんーっ!!」

 もぞり…と真子の股間で何かが蠢いたかと思うと、途端に下から熱い衝撃が突き

上がってきた。

 たまらず、上体を反らせて逃げようとする真子だが、抱きかかえるように回された

剛の腕によって、それを阻まれてしまう。

「へへ…動けるもんなら……とか言ってたよな? ほら…動くぜ…んっ!」

「あっ…はっ…あっ…あっ…」

 にやり、と笑みを浮かべ身体を揺するように腰を動かし始める剛。それに合わせ

て、真子の身体も上下に揺れる。

「あっ…! は…っ! いっ…いやぁっ…はっ…はふぅ…っ、こっ…こんな…の…、い

っ …いじわ…るぅっ」

 恨めしげな目で剛に訴える真子……だが、断続的に込み上げてくる強烈な快感

に、何度もその表情を歪ませる。

「あっ…や…そ…そんなっ…あはぁっ! そんな顔で…み…見ないで…よぉ……」

 また、それを剛に見られまい、と顎を引いて、必死に耐える…が、

「んっ…! くっ…! はっ…! あぁぁぁーーーッ…!」

 無理に押さえ付けたその反動が、逆により大きな歓びを呼び込んでしまったよう

だ。

「んっ…く……くはぁぁぁ…っっ!!」

 何度目かの上下運動の際、真子の身体の奥で何かが弾け、それを境に、真子は

急速に快楽の波に飲み込まれていく。

 まるで、暖かく深い海の底へ、どこまでも沈んでいくかのように……

「ひああああああ…ぁぁ…ぁ……」

 虚ろに潤んだ瞳で、熱く甘い息を吐く真子。

 薄らいだ理性の隙間から、悦びがどんどん溶け込んでくるようだった。

「はふぅ…っ…くふぅぅぅ…っ…んあ…っ! あはァ…ッ…☆」

 身体が揺れるその度に、真子は髪を振り乱し、歓喜の嗚咽を漏らす。

 悦びに打ち震えるその表情は、今まさに花開いた『女』の顔であった。

 

「……はぁ…はぁ…っ…」

 一方剛は、想像以上に淫らに喘ぐ真子にかなり圧倒され気味であった。

 目まぐるしく表情を変えて喘ぐ真子に、さらなる興奮を覚えて、激しく彼女を攻め立

てた剛。だが、そのおかげで、もはや抱きかかえるような体勢で腰を動かすことはき

つくなってしまい、今、剛は倒れ込んだ身体を肘で支える、というほとんど横たわった

ような格好で、真子を見上げていた。

 当然、腰の動きの勢いも、先程とは比べ物にならないほど殺がれており、

「……っく」

 ついに、剛は肘の支えを抜いて、ぐったりと横たわり腰の動きを止めた。

「……んぁっ…あ…ふ…ん…ん? ど…うしたの…?」

 剛の動きが止まったことで、自分の身体の脈動も止まり、怪訝な顔で剛を見下ろ

す真子。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…ちょ…きゅ…休…け…っ…はあっ……」

 だが、剛は荒い息遣いで、満足に言葉が発せない。

「……?」

 しばし、そんな剛の様子を不思議そうな顔で見入る真子だが、やがて、その訳が

分かると……

「ふふーん…… あんまりあたしの事いじめるから疲れちゃったんでしょう?」

 したり顔で微笑み、剛の胸に両手をつく。

「はぁっ…はあ……え? ま…真子…?」

 剛の休息は許されなかった。

「あは…いいよ…そのままで。今度は、あたしがシてあげるね…………」

 真子は剛の身体の上で、妖しく腰をくねらせ始めたのだった。

「…んっ!? うぁぁっ!!」

 柔らかく締め付けられた分身が、真子の擦りつけるような動きで前後左右になぶら

れ、たまらず声を上げる剛。

「はぁぁぁぁっ!! あ…はぁぁぁぁんっ!」

 真子も自らの動きで、さらにずぶずぶと奥へねじ込まれる熱く堅い剛の分身に、

歓喜の悲鳴を上げる。

 流れる汗が真子の滑らかな肌をつたい、ひとつ…またひとつ…と剛の身体へと落

ちていく……

「あぁん…ッ、はあ…、あ…、た…剛…の、ま…また…おおきくなって…るぅっ!」

 大きくかぶりを振って、まとわりつく髪を振り払う真子。

 確かに剛のそれは真子の中で著しく変化を遂げていた。

 言うまでもなく、これは剛の限界が近付いている証拠であった。

「んっ! はあぁぁ…ッ…! い…いやっ…お…大きっ……ス…スゴォッ…イイーッ…

アァーッ!」

 そうとは知らず、さらに腰のピッチを上げ、剛の腹の上で淫らに蠢く真子。

 柔らかなお尻の感触が、剛の股間全体に広がる。

「う…ま…真子…もぉ…やめろ……や…やばい…って……んっ…く!」

 先程から、よぎっていた一抹の不安に動くことをためらっていた剛だが、

「あっ…あ…は……な…なにが? あ…あああっ」

 意味も分からず、腰を揺さぶり続ける真子に、とうとう……

「くぅぅぅっ! ま…真子っ!!」

 剛はもはや我慢し切れず、真子の腰をぎゅっと掴むと、せきを切ったように下から

一気に突き上げた。

「あぐぅ…っ!? はああああん…っ! い…っ…! あ…ふぅ…ッ、くぅぅぅっ…!」

 ずんっ、ずんっ、と身体の底から突き上がってくる鈍い振動が、さらにもう一段階上

の高まりへと真子をのし上げていく。

「ハァッ、ハァァァァッ! あ…あた…し…、す…スゴ…イ…ッ! すごいの…っ…あ

っ …ああっ! も…もう…ダメ……んくぅぁぁ…ッ!」

 恍惚の表情を浮かべ、悦び鳴く真子。その『中』では激しい収縮が始まっており、

容赦なく剛の分身を締め付けていた。

「っはぁっ…っくぅぅ…ま…真子ぉ……」

 絶頂を迎えつつある真子の下で、剛は耐え難い快感の地獄を感じていた。

 自分で自分の首を絞めているのは重々分かっているものの、跳ね上げるように動

く腰は、もはや自分の意思ではどうにもならず、少しでも気を紛らわせるためか、震

える両手を真子の乳房に伸ばし、めちゃくちゃにもみしだいた。

「あ…っ…はぁぁぁんっ! い…いい…いいよ…た…剛…ぇ」

 身体をぶるぶると震わせ、歪む表情の中、乱れた髪をかき上げ、垣間見せる真子

の笑顔 ……月明りに照らされ妖しく輝くその様が、視覚的にも限界の迫った剛の興

奮を後押しする。

 そして、とうとう……

「くぅぅっ! ま…真子…こ…このままじゃ…マジ…や…やば…い……っ!」

 叫んで、剛は必死に身体をずらせ、真子の中から引き抜こうとする……が、

「ん…んんっ?…はっ…ああ…っ……だ…だめ…逃げちゃ…き…今日…だ…だいじ

ょ…ぶ …だ…から…あ…はあっ! こ…このまま……あ…はぁぁぁぁんっ!!」

 剛の両肩を掴んで前のめりに体重を掛けてきた真子に、起こしかけた上体を潰さ

れる。

 また、その反動で、剛の分身がよりいっそう真子の中に突き入れられ……

 どくんっ!

「ハ…ッ! え…ッ!? ひぁぁ…っ?! な…な…に…こ…れ…? な…中…で…た…剛

… が………あぁぁぁーっ!」

 中にいる剛の分身が熱く肥大化し……

「あああああああああああああああああああああッ!!」

 弾けた。

 一際激しく身体を痙攣させ、剛の胸へと崩れ落ちる真子。

「っくぅぅぅぅ…ッ!!」

 そして、剛は真っ白に混濁する意識の中、真子の身体をきつく抱き締めた。

 

「はあっ…はあっ…た…剛……」

 剛の胸の上に乗せられたまま、荒い息を整えつつ、潤んだ目を向ける真子。

「はあ…はあ…はあ……んん?……」

 同じく呼吸を整えながら、剛は、乱れて真子の顔に絡み付いている髪を直してや

る。

「あ…あは……ありがと……」

 真子は剛がしやすいように顔を浮かせると、指先で頬をなぞる剛の仕草に、目を

閉じて幸せそうな笑みを浮かべた。

「……で……何?」

「……ん? あ…ああ、あのさ……あ…たし……ど…ぅだ…った?

 真上から見詰める真子の口元が小さく動き、耳にかかった髪がぱらりと剛の顔の

上にかかる。

「…え?」

 そちらに一瞬気を取られた剛は、真子の言葉を聞き逃していた。

「ばか………もう言えない……そんなはずかしいこと……」

 剛が再度聞き直すも、真子は身体を包む剛の腕を無理やり広げ、ころりと脇に逃

れると、広げた剛の腕を枕にして背を向けた。

「ちょ…なんつったんだよ…?」

「知らないっ…ないしょ……」

 言いつつ、笑みでほころぶ顔をより強く剛の腕へ押し付けた。

「…ちぇ……」

 軽く舌打ちし、くしゃっ、と真子の頭に手を置く剛。

 まだ早い秋風が、心地好く二人の身体を通り抜けていった………

 

 *エピローグ*

「なあ……」

「…ん?」

「あ…あの…さ、と…東京に帰ってからも……ま…また…会ってくれっか?」

「ええええーー?」

 傍らに抱く真子の髪を撫でつけながら、何とも照れくさそうに言った剛の言葉に、真

子は心底不満そうな声を発して、剛を仰ぎ見た。

「あ…ご…ごめん。やっぱ、駄目…だよな……」

 語尾を自分に言い聞かせるようにして、哀しげな笑みを浮かべる剛。

 だが……

「ふふっ…ばーか、そーじゃないわよ。あたしの『初めて』あげたんだからね。もちろ

ん、東京に帰ってからは、いっぱい、いろんなトコ連れてってもらって…………

 とにかく、しっかり元は取らせてもらいます!」

「え…? え…?」

 したり顔で言い募る真子に、剛は目を白黒させてうろたえる。

「もう! だーからぁ、今からもう帰ることなんか気にしてぇ。ンなこと考えるより、まだ

あと3日もココにいられるんだよぉ。親公認で外泊できる機会なんて、東京に帰っち

ゃったら、そーそーあるとは思えないけど……?」

「…? ま、そりゃ…そーだけど……?」

「でしょ? そ、れ、と、も…剛はもう一回シちゃったから、あとの日は、ゆっくりひとり

で寝たいワケ?」

「………あ。」

 わけも分からず、真子の言葉に頷いていた剛は、ようやくその真意を悟った。

 そして……

「バーカ、そんなわけねーだろーが!」

「キャッ…

 ぐいっと引き寄せられた剛の腕の中、真子が小さな、嬉しそうな悲鳴を上げた。

 

 ………前述もとい、

 吹き抜ける風は秋色を示していたが、どうやら彼らの夏は、今始まったばかりのよ

うである………

 

 つづく……かな?(^^; (2000年7月、続編完成しました! 続編はこちらです!)


*あとがき*

最後まで読んでいただき誠にありがとうございます(^0^)

 ロフト・イン・サマー・U〜月明かりのテラスにて〜、いかがだったでしょうか?

 途中、かなり調子に乗りすぎ、正直言って「初めて同士でここまでできるかぁ?」

などと、私自身思ってしまいましたが(^^;

 まあ、なにぶん『耳年増の少女』と『ウブだけどその実SEXは強い少年』というよく

ある組み合わせ(おい!)だった…ということで、なにとぞご容赦下さいませ・・・(^^;

 また、ホントは今回で完結させる予定でしたが、私自身、もうちょっとこの二人の行

方を見てみたいなー……などという思いに駆られてしまい、このような形で、ひとまず

中幕としました。

 もちろん、今後の展開などはほとんど白紙状態で、漠然としたストーリーくらいしか

思い浮かんでおりませんが(^^;

 そのうち、また…そう、今年の夏の到来くらいまでには、なんとか書き上げようとは

思ってます。(2000年7月、続編完成しました! 続編はこちらです!)

 可愛くもえっちな二人の夏物語…今後の展開に(気を長くして(^^;)乞うご期待!

 それでは、ホントにどうもありがとうございましたm(_ _)m

 

☆ご意見ご感想など、ぜひこちらにてお聞かせください☆

 

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