ロフト・イン・サマー・V
Last Night〜長い長い最後の夜☆〜
(5)
「ん…むふぅっ! んはぁぅっ! んんん…んっ」 現在、唯一できる剛への仕返し。それとも、止めどなく来る下半身からの刺激に耐え るためだろうか、真子は熱く怒張した剛のこわばりを頬張ったまま、一心不乱に頭を 上下に揺すっていた。 込み上げる快感の波が少女の恥じらいを押し流し、真子は小さな口にそのほとんど ちゅ…じゅぽっ…じゅぽっ…ぴちゃっ……ちゅぅぅぅぅっ…… 「う…くっ! ん……んんっ!?」 淫らな水音が耳につき、やおら感じた凄まじい感覚に剛は一瞬舌の動きを止めた。 ……が、やはり同様に、その狂おしいまでの快感に耐えるため、さらに激しく真子を 攻め立てていく。 「ん…んむぅっ!? あ…はぅぅぅっ! ん…はむっ! んふっ……んんん……っ」 何かに取り憑かれたように夢中になって互いの局部を貪り続ける二人…… 時折、愛撫の集中が途切れ、突き抜けるようにやってくる凄まじい快感に、身を 震わせ……… 「ん…うあ……くぅっ……んんんんんーっ!」 すぐさま、それを紛らわせるためにさらなる愛撫を以て相手を攻め立てる。 だがこれは、言うまでもなく、気を紛らわせるどころか、互い首を締め合っている ようなもの……。いわば、『快楽の悪循環』であった。 ちゅ…ちゅぷっ…ぴちゃ…ぴちゃ…… 「んふ…ふあっ…あ…あむ…んぐっ…んぐっ…」 「う…んんんっ…んはあっ…く…くぅぅぅっ」 薄闇の中、淫らな水音とくぐもった喘ぎが響き、急速に互いの興奮を高め合っ ていく真子と剛…… 当然、そんな二人が我慢の限界に達するまで、そう時間は掛からなかった。 ほどなく、 「んふァッ! ……た…剛っ…あ…あたし……」 「ぷはっ! ん…? ん…ああ…うん」 股越しに、すっかり上気した顔でこちらを見る真子に対し、興奮気味に頷く剛。 荒々しく身を起こし、まだ自分の体から下りる途中だった真子の身体を強く抱き 寄せた。 「あ…ん」 剛の胸に包まれ、肩をすくめてくすぐったいような笑みを浮かべる真子。 また、そんな真子の笑顔は、すでに我慢の限界に達していた剛の欲情にとどめ を刺した。 「真子っ!」 「あ…きゃっ! た…剛、ちょ…ちょっと待って……」 だがしかし、そのまま押し倒そうとした剛に、真子は慌てて待ったを掛けた。 「え? な…なんだよ!?」 「あ…や…ち…違う…の…この体勢だと、あたし…また…す…すごい…声…出しちゃ いそうだから……ね……」 肩すかしをくらい、憮然とする剛を制し、真子は伏し目がちにそう言うと、くるりと剛 に背を向け、うつぶせに寝そべって手に取った枕に顔を埋めた。 「え………?」 一連の真子の動作をきょとんとした顔で見送った剛だが、ひととき間を置いて、 から………? (…………………) しばし、驚きと困惑を錯綜させる剛だが、すぐに一連の真子の仕草を思い出し、 「……ぷっ…」 と、小さな笑いをこぼした。 それは、こんなにも可愛い真子に対して、変にカッコを付けようとしている自分への 侮蔑の嘲笑だったのかもしれない。 「な…何よぅ?」 だが真子は、そんな剛の笑いを別の意味に取ったか、枕から覗かせた片目で拗ね たように訴える。 「あーいやいや……」 慌てて首を振って否定する剛……だが、先程の真子の言葉からふと思い付き、 「いや、そういえば、ふだん気丈な真子さんの、どこからあーんな声が出ンのかなー、 って思ってさ……」 「!? な…なによそれ……んっ! んんっ…ん……ん……」 面白がるように言った剛の言葉に、横向きに身体を起こし掛ける真子だが、 待ってましたとばかりに、迫り寄ってきた剛にその唇を塞がれてしまう。 そして、剛は唇を合わせながら、そっと、できるだけ体重を掛けないように、 真子の背に伸し掛かっていった。 下腹から股間にかけて、真子の柔らかなお尻の弾力を感じながら、ぴったりと肌を 合わせていく剛。閉じられた真子の両足の隙間に膝を差し入れ、少しずつこじ開けて いく。 「ん……」 密着する真子の肌はどこもかしこもなめらかで柔らかく、剛はなんともいえない心 地好さを感じていた。 「ん…あ………」 ふと、閉じていた瞼を開き、唇を離す真子。 「ん…? あ、ごめん。重かったか?」 「え…ううん、違うの。お尻のところで何か………あ!」 お尻の隙間に入り込みびくびくと動くそれが何だか分かり、真子は言葉途中で 複雑な笑みを浮かべた。 「な…なんだよ?」 「え…えへへ、剛の…が、もがいてる……えいっ!」 「んくっ!」 真子のお尻にきゅっと挟まれ眉をしかめる剛。 「あは…おもしろーい☆ えいっ、えいっ」 「あ…あのな………」 無邪気にはしゃぐ真子に、困った顔で何かを言い掛けて、剛は言葉を止めた。 こわばりを真子の柔らかなお尻に挟まれる感触は確かに悪いものではなかった、 だが、二度三度と慣れてしまえば、さほど驚くほどのものではない。 それよりも、現状を忘れ、一人妙にはしゃいでいる真子を少し懲らしめてやりたく なってしまったのだ。 「あのさ、真子、お前いま自分がどんなに不利な状況にいるか分かってないだろ?」 「えいっ…えいっ……え?」 半身を起こしながら呆れたように言葉をかける剛に、真子は尚も続けていたお尻の 締め付けを止めた。 「ふふん、そういや、お前まだ服着てたっけな……」 言いつつ、真子の背中に一直線に並ぶタンクトップのボタンに手を掛ける剛。 むろんこのボタンは飾りのようなもので本来こうやって脱ぐものではない……が、 実際に左右に分かれた布をボタンで繋ぎ止めているデザインのため、これらボタン を外し、脱がせてしまうこともまた可能。 「え…え…え…? こ…これ、そーやって脱ぐんじゃないよぉ……」 「いーの」 元々柔らかな生地ということもあって、剛の指に掛かったボタンはいとも簡単に、 次々に外れていき、どぎまぎしながら言った真子の言葉に剛が答えたときには、 ボタンはすべてその穴から抜けていた。 「さーて☆」 ぴらり、とまるで新聞でも開くように、真子のタンクトップを背開きにする剛。 「……と、これも取らなきゃな」 …………ぷちぷち。 かくて、露になった真子の背中。 わき腹から腰にかけてうっすらとアーチを描く水着の跡が妙に悩ましい…… 湧き上がる興奮を押しとどめ、剛はゆっくりと伸ばした両手を、静かに真子の両肩 に乗せた。 「え…えぇ? ま…またぁ? ちょ…や…やだよぅ……」 剛のしようとしていることが分かり、うつぶせの体勢から首を捻り、悲痛な声を 上げる真子。 だが、腰と肩をがっちり固定されているおかげで、今度も逃げられない。 「……っ」 仕方なく、半ば諦めた様子で、真子は来るべき感覚に耐えようと堅く目を閉じる。 しかし……… 「………え?」 ぞぞぞ…ぞわぞわぞわっ! 今回来た感覚は、先程の比ではなかった。 「?!………ひっ! は…あっ! や…ダメッ!! んむぐっ! ンンンンーッ!!」 慌てて枕に顔を押し付け、大声を上げるのは防いだものの、背中に駆け巡った 予想外の凄まじい感覚に、真子はシーツを堅く握り締め、狂おしいほど激しく身体 を痙攣させた。 そう、今回真子の背筋を襲ったのは指ではなく、長く押し出された剛の舌であっ たのだ。 「…っっ! くぅぅぅ…っ! だ…だめぇ…うっ…くはぁっ! んはぁ…っ…ひ…ん…ああっ! だ…だめ…そこっ…お…おかしくなっちゃう…ぅぅぅ……」 剛の舌が背中を走る度、頭を左右に振ってくぐもった喘ぎを撒き散らす真子。 著しい反応を示す真子に、剛の興奮がより掻き立てられる。 じゅんっ。 瞬間、股間に挟まれているものが、真子の熱いぬめりを感じた。 「あ………」 軽い驚きを口にし、舌の動きを止める剛。 「や…は…恥ずかしいっ……」 そして、真子は意図せず起こった己の身体の現象に、泣き出しそうな声で枕に 顔を伏せた。 かき消えそうになっていた剛の理性が少しだけ戻る。 「………」 なおも震えが止まらない真子の肌から顔を浮かせて、剛はその背中をしげしげと 眺めた。 自分の舌の軌跡が残る真子の背中全体が、薄紅色に染まっている。 このとき、何か欲望や興奮を上回る感情が、剛の胸のうちに駆け巡り…… そして、知った。剛は、本当の意味で、真子を欲している自分を。
「真子…いくぞ……」 「あ…うん」 再び、真子の背中にぴったりと覆い被さり、剛は腰をずらせながら差し入れた手で こわばりの方向を定める。 この体勢はもちろん初めてなので、その位置をつかみあぐねたが、ぬめりに沿って 二三度上下に擦り合わせているうちに、先端が沈み込むような場所があるのに気付 いた。 (へー、思ったより、後ろのほうなんだな……) そんな事を思いながら、剛は真子の両足の間に膝を差し入れ、もう少し開かせる。 そして……… 「ん……」 下腹から伸び上がるように、後ろから真子の中に侵入っていった。 ず…………。 「んあっ! んんんんんんーーーーっ!」 枕に顔を埋めた真子のくぐもった長い喘ぎ。 一方剛は、初めてするこの体勢で、思いも寄らぬ快感に包まれていた。 こわばりが包まれる収縮感はもちろんのこと、前後運動をする度に股間に当たる 真子のお尻の弾力がたまらなかった。 剛はさらなる密着感を得ようと、やや開いた真子の脚を跨ぎ越し、両足を広げて、 さらに深々と腰を突き入れた。 丁度、『前』からするのと逆の足の置き方である。 「んぐっ!? んんっ! んっはぁっ! んああぅぅっ!!」 昨晩までのとは違う、ずんっずんっ、と身体の芯に響くような感覚に、くぐもった 真子の声は、早くも感極まっていく。 「ん…くぅっ! い…ぃいっ! こ…これ…あっ…く…っ…す…すごいっ……」 背後からということで、どうされているのかがほとんど伺い知ることができないため、 より感覚がそこに集中してしまっているのだろうか、しゃくり上げながら呻く真子の声は 早くも絶頂が近いことを色濃く示していた。 「はっ…んはぁっ! やっ…だ…ダメッ…あ…はぁっ!…あ…あたし…あ…あ…あ…… イヤァッ…い…イッ…イッちゃうッ! あ…あ…あ…はぁぁぁぁ〜んっ!!」 顔の両脇のシーツをぎゅうっ、と握り締め、真子は鳴いた。 小刻みな身体の震えが、ビクンッビクンッ、と間隔を置いた大きな震えに変わって いく。 「あ…はぁぁぁぁぁ……………」 達してしまった真子。 か細く長い呼気を吐き、ひととき余韻に浸るが…… それは、ほんの一瞬であった。 「はぁっ…はぁ……え……? ああっ!?」 そう、剛の動きは止まっていなかったのだ。 「はぁうっ!た…剛…ちょ…待っ…んんっ…だ…ダメ…あ…お…お願…い…あ…たし… 今…イッたばっか…りで…ああ…んっ…やめ……っっ!」 軽やかな余韻を打ち砕く、尚も身体の奥に突き上がってくる感覚に、悲痛な声を 上げる真子。 それは、先程まで……達するまでに感じていた快感とはまるで違っていた。 あえて言うなら、くすぐったい感覚に似ているが、並のくすぐったさではない。 身体の芯のむき出しになった神経を直接くすぐられているような…… 全身が総毛立つ、ぞわぁぁっ、とした感覚。 「ひあぁっ!? ひゃ…や…め……てぇっ……あ…は…ぁぁぁ…… 消え入りそうな震えるか細い声で、懸命に剛に訴える真子であったが、それは無理 と言うもの。 もはや欲情と興奮の虜となり、只の一匹の牡と化していた剛に、その言葉は届かな かった。 そして、剛は尚も勢いを増して腰を捩じ込んでいく。 「ふわぁぁぁ…っ!! や…やだぁぁぁ……な…な…に……これぇぇぇ……」 剛のモノが、出ては入るその度に、真子の下半身は激しい痺れに包まれる。 もはや、剛が『中』にいるのかどうかすら分からない。 回を重ねられるごとに、腰から下が自分の物でなくなってしまうような…… いっそついでに全感覚が麻痺してしまえれば…と思うのだが、身体の芯から響いて くるような、重く鈍い感覚だけは、とどまるどころか、さらに絶え間なく全身に広がって いく。 ずんっ! ずんっ! 「ひぃぃぃ…ゃぁぁぁぁぁ………ん……」 虚ろな瞳を虚空に泳がせ、ただただか細い声で喘ぐ真子。すでに身体のどこにも力 が入らない。 意識が暗転し、気が遠のいていく…… びくぅぅぅんっ! 刹那。 真子の感じていた堪え難い感覚が異質の物に変わった。 「はぁぅっ!? な…なにっ? あ…あっ…ああっ…あああああーっ!」 突然、麻痺しかけていた全身の感覚が蘇り、鋭敏に『中』の剛を感じるようになった のだ。 途端に押し寄せる凄まじい快感のうねり。 「ちょ…た…剛っ…あっ…はぁぁぁんっ! だ…ダメよぅ……あ…や…やめ……」 「なんで?」 その間、真子の中で勃発した様々の事情も知らず、尚も腰を揺さぶりながら問い返す 剛。 「だ…だって…あっ…き…気持ち……よすぎちゃ…うんだもん……あ…うはァッ!」 答えて真子は、しまった、と思った。この状況で、そんな事を言っても剛が言う事を聞 いてくれるとは思えない。いや、むしろ面白がってさらに激しく攻め立てられるだろう。 「う…っくぅぅぅっ……」 自分の浅はかさを呪いながら、さらなる剛の動きに備える真子。 だが…… 「あ…そっか……悪ィ…つい……ごめんな……」 意外や意外、剛は何かに気付いたように腰の動きを止めた。 |
(6)へつづく。