メイプルウッド・ロード
                     
〜#2.ジャグジールームの甘い霧☆〜

 

(11)

       シャワー
 降り注ぐ熱い雨にまみれ、滴る前髪の奥、妖艶にさえ思える光を放つその双眸。

 濡れて乱れた髪を四方に跳ねさせ、あるいはその紅色に輝く頬にはりつかせ、

より野性味の増した瞬の笑顔……。

「……あ……。」

 ドキンッ!

 決して本人にその気はないのだろうが、その挑発的でセクシーな笑みに、由美の心は

またひとつ高まってしまう。

(も…もう……なんでこんなトキばっかり……いつもそうしてればいいのに……)

 ついぞ何をされているかも忘れ、ぼーっとなってしまう由美。

 また、太ももあたりをつつぅ〜っ、とつたう瞬の指先の感触も手伝って、由美の頭の中

に再度、白い霞みがかかっていく……

 立ち上ぼる湯気がやさしく肌を撫で、心地好い高揚感に全身が包まれていき……

 そして、

 ちゅく……。

「…へ……?」

 瞬にしてみれば当然、由美にしてみれば唐突に。

 ともあれ、シャワーとその他いろいろな理由で、充分に潤った由美の泉に。

 ずっ……

 なんのためらいも抵抗もなく沈み込んでいく瞬の指。

「え…あ…だ…だめっ…あっ…ちょ……んああああ〜〜っ!」

 驚きと全身が痺れるような感覚が入り交じり、由美の悲鳴が室内に響き渡る。

「ん…んああっ……や…やだ……瞬…こんな格好…で……恥ずかしいよぉ……」

 確かに。

 沈痛な表情で由美が振り返った先、瞬は身を屈めて跪き、その柔らかなお尻を片手

に、秘部をまさぐっている……そんな何もかもが彼の目の前にさらされているかと思う

と……

「あ…あ…や…やぁ…ちょ…しゅん〜マジで恥ずかしいってばぁ……ん…あ…」

 さらに、トマトのように顔を赤く染め、悲痛な声を上げる由美。

 だがしかし、由美がそんなこの上ない恥ずかしさに包まれる一方、

「ふふーん☆」

 指を中に沈めたまま、そんな由美の反応に満足そうに微笑む瞬。

「んああっ…?……な…なに笑ってんのよぉ……」

「ん…? だってさ、さっきまでの態度とあまりにも違うなーって……」

「え…?ああっ…ちょ…動かさないで………さっきまで……って…んっ…何よぉ…」

「いや…だって…さっきは頼みもしないのに、もっとすげーカッコしてたじゃん……」

「……う。あ…あれは………」

 そらっと言う瞬に、言葉に詰まる由美。同時にイヤ〜な予感が頭をよぎる。

「…って…あ…ふ…ね…ねぇ…瞬? えっと…もしかして、あんっ…そ…それ……

ネに持ってるとか……?」

「うん。と−ぜん☆はっきり言って拷問だったもん…それに……」

 むしろにこやかに言う瞬に、由美の不安はますます濃くなる

 因みにこの間も、瞬は会話ができるくらいの微妙な力加減で指を動かせているた

め、由美は主だった抵抗はできないでいる。

「んっ…あ…ん…そ…それになによぉ…?」

 あまり聞きたくないよ―な気がしたが、少しでも気を紛らわせるため、尋ねて会話を

繋ぐ由美。

 一方、瞬はなにやら感慨深い顔になり、

「いやぁ、今日も一日、いろんなことがあったよなぁ…ってさ………顔面チョップに往復

ビンタ……お…そうそうキッチンのアレも…なかなか……」

「……って、ま…まさかその恨み…ぜんぶ…今はらそーとか思ってないよね?」

「ん…?どーかなぁ〜☆……お前はどー思う?」

 顔色を変えおそるおそる尋ねる由美に、瞬の顔が意地悪い笑みで歪む。

 また、そう言って深々と指を沈め、

 ぐりっ……

「し…知らないわよ…って、や…あああ〜〜っ!し…しゅん……動かしちゃだめ〜〜!

あ …あぁぁっ!」

 とはいえむろん、ここで止める男などいるわけもなく、また普段はとことん鈍いこの

瞬が、こーゆーときに限り、如何なくその鋭敏な才能を発揮するのは、先刻ご承知済

みだろう。

 かくて、

「や…しゅ…瞬…だ…だめだって…あ…そ…そこは……や…やめ……ああ〜〜っ」

 瞬のつもりが分かり、身悶えながら上げる由美の悲鳴も空しく、

(んっ…ここ…かな?)

 熱く潤う由美の中、深々と沈めた指を掻き回すように動かし、瞬はピンポイントの例の

場所を見付け出す。

 ず…ずちゅ……

「ひっ…ひぁぁっ!」

 一際甲高い由美の悲鳴。

(ビンゴ☆)(笑)

 そして瞬は指先の感触と由美の反応が変わったことを確認し、肘から伝わる激しい

震動をその部分に送る!

「……っ!?……やっ…あぐっ…い…いやぁっ!!……あ!あ!…あぁぁぁぁぁ――っ!!」

 まさに想像を絶する快感が全身に駆け巡り、かっ、と目を見開きあっという間に達して

しまう由美。

「あ…はああああああああああ〜〜っ!」

 恥じらいも理性もかなぐりすてた嬌声がジャグジールーム全体に響き渡った。

  

「……はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

 もはや支える両腕にも力が入らず、壁に顔を押し付け荒い息を整えつつ、余韻…い

や、この激しいまでの余波を耐え忍ぶ由美。

 本当なら、今すぐにでもその場に倒れ込みたかったが、がっしりと腰を掴み支える瞬

の大きな手がそれを許さない。

 また、びりびりと痺れるような感覚が一段落してくるも、

「はぁはぁ……え…あ…ちょ…瞬…も…もうだめだよぉ……」

 太ももの裏側に瞬の唇の感触。

「……って、あああ…や…やだ…そ…そんなの……ああ…くふ…ぅぅ……」

 次いで、ぞわり……とした舌の感触がゆっくりと肌を這い登ってくる。

 やがて、局部近くまで登りつめた瞬の舌は、そこから急転直下……流れ落ちる水滴

よりも早く、なめらかな曲線を描く由美の太ももを滑り下りていく。

 つぅぅぅ〜〜。

「ん…や…あ…はぁぁぁぁぁぁ〜

 じわじわと熱く責め上がってくるような感覚が、急にすぅ〜っ、と力が抜けていくよ

うな冷涼感に変わり、脱力にも似た甘い息を漏らす由美。

 また再び、瞬の舌はぬめぬめと這うように登り往き……同じ軌跡を辿り、下ってい

く。

「あっ…あっ…あっ………あ…………ひぁぁぁぁぁ〜〜

 そんな緩急つけた瞬の舌先の往復動作に、幾度となく、トーンの違う2種類の声で

鳴き喘ぐ由美。

 その一方、瞬は徐々にその往復範囲を狭めていき、やがて……

「…あむ……」

 登りつめたその先、シャワーの湯だけではない雫を滴らせる、濡れた草むらを舌先

でかき分け、その周囲をくまなく舐め上げる。

 ねっとりと張り付いてくるような感触が由美に襲い掛かり、

「や…やぁぁぁ……ん……ん…んぁぁ……はぁぁぁ〜☆」

 耐えがたい恥辱と狂おしいまでの快感が交互に押し寄せ、妖しく腰をくねらせながら、

ぶるぶると身を震わせ咽び鳴く由美。

 やがて瞬は鼻っ面をその割れ目に深々と埋め、長く伸ばした舌先を……

 びくんっ!

「ひぁ…っ!」

 固く尖った突起に触れられ、一際大きく身体を震わす由美。

「はぁ…はぁっ…ん…うぅ……」

 荒い呼気を吐きつつ、固唾を飲んで来るべく感覚に備える。

(くす…☆)

 一方、瞬はそんな由美の態度にほくそ笑みつつ、下側から、たわわに実る乳房に

両手を伸ばし、指先で両の突起を転がすように啄ばむ。

 くりくりっ。

「やっ…はぅぅっ!?」

 身構えたところにきたこの予想外の刺激に驚き、由美の心の準備が霧散する。

 と同時に、にわかに蠢きだした瞬の舌先に、『下』の突起も弾くように弄られ…

「や…くはぁぁっ!い…いぃぃ……瞬っ……それ…スゴイッ!あくぅぅぅぅ〜〜!」

 突如、三つの場所から駆け巡る電撃に、首が千切れんばかりに頭を振って、

歓喜の悲鳴を上げる由美。

 そして……襲いかかる二度目の絶頂感に、

「ああっ…んん〜〜っ☆い…イイッ☆…あ…くぅっ…い…イ…ッちゃ…ああああああ〜〜

っ!!」

 甘い絶叫轟かせ、由美はその場に崩れゆく………ことは、だが、未だ許されなか

った。

「はぁっ…はぁっ……え………?」

 力の抜けた下半身が奇妙な浮揚感に包まれ、驚き顔で振り返る由美。

「………」

 そこには、その細くくびれた腰を両手に掴み、立ちはだかった瞬。

「え…?あ……」

 濡れて輝くその逞しい胸板と、疲れ果てた獣がようやく獲物を捕らえたときのような

野性的な笑みに、またも一瞬心を奪われてしまう由美。

「…………え…?…ちょ……瞬……や…やだ……い…今こられたら……」

 刹那の放心の後、慌てて我に返り、制止をかけるも、

「……くす…」

 むろん瞬は、無言の笑みで応えるだけ。また、あらためてその細い腰を掴みなおし、

自らのモノに手を添え……

「ちょ…だ…だめ…待って……い…いや……やめ……」

 ずんっ!

 瞬は、立ったまま背後から由美を貫いた。

「あぐぅっ! あっ…はぁうぅぅぅっ!や…や…はぁぁぁぁぁぁ〜っ!」

 三度目ゆえ、衝撃こそ少なかったものの、明らかに異質な…まさに身体の奥底から

突き抜けてくるようなこの感覚に、弓なりに身を反らせて喘ぐ由美。

 また、間断なく責め来る背後からの衝撃に耐えるため、由美は折り曲げていた両腕

を突っ張らせ、つかんだシャワーコックを支えにバランスを取る。

「ん…っ…あ…ぁぁ…」

 両手を伸ばし、頭をだらりとうつむかせた逆側の由美の視界に、実る乳房が前後に

妖しく弾んでいる。

 快感にぼーっと霞む思考の中、由美は、妙にその揺れが疎ましいような歯がゆいよう

な…奇妙な感覚にとらわれる。

(あ…なんか…支えてほしい…な…)

 思った直後、申し合わせたように回り込んできた瞬の掌が、それをわしづかみにし、

「あ…やぁぁっ…んっ…あっ…あっ…あっ…はぁぁぁん……☆」

 自らの乳房が柔らかくもみしだかれるその様を、目の前に、息も絶え絶え甘い声を漏

らす由美。

 そんな中、瞬は、腰の動きを一時止め、由美の背中に自分の身体をぴったりと折り重

ねていく。

「ん…うぅぅん…」

 じれったそうな悩ましい声を漏らす由美。

 また、それに応えるように、瞬の腰がなまめかしく躍動する。

 今度は、前後のストロークのない上下の…より深く、こすりつけるように、由美の中を

かきまわすようなゆっくりとしたリズムで……。

「はぁぁぁ……ん…い…イイ〜

 全身が溶けてしまいそうなこの感覚に、恍惚と甘ったるい声で鳴く由美。

 一方、瞬も、

「ん…くぅ……」

 柔らかなお尻が股間に押し付けられ、なんとも言えない密着感。また、ぎゅうぎゅうと

締め付ける由美の中の感触に酔いしれ、呻きに似た息を漏らす。

 沈めた深度はそのままに、さらにゆっくりと掻き回すように己が分身を突き立てる。

「ひぁぁぁ〜…しゅ…瞬………」

 求め訴えるような目で振り返る由美に、甘いキスを送りつつ、

「あ…んんっ んっ…んんっ……ん…

 瞬は抱き抱えるように彼女の上体を起こし、

 …ずんっ!

 これ以上ない…と思われた状態から、さらに深いところへ自らのモノを差し入れる。

「ん…あむぅっ? ぷはぁっ!…や…やだ…う…くぅぅぅっ! しゅ…瞬…そ…そんな奥

まで……くああっ……!」

 まさに、喉元まで突き入れられたかのような衝撃に驚き、たまらず囚われた唇を振り

払う由美。

「や…あ…な…なにコレ……あ…ああっ!」

 だが同時に、この奥底までえぐられるような感覚は、これまでに感じたことのない凄ま

じい快感をもたらし、

「はぁっ…はぅぅっ!あ…あたし…こんな…の…はじめて…ああ…っ……い…イイッ!

あ…はぁっ!す…っごい……」

 由美は髪を振り乱して喘ぎ狂う。

「う…ゆ…由美……お…俺も……これ…スゴイ……」

 また瞬も、先端がちりちりとひりつくような感覚、そして全方位から何かにまとわりつ

かれ締め付けられる感触に、全身が総毛立つような例えようのない快感を覚えていた。

 やがて、込み上げる想いに耐え切れなくなり、

「う…ぁ…ゆみぃ…っ!」

 瞬は歓喜に打ち震える由美の腰を引っ掴み、

「ああっ…しゅ…瞬…い…イイよ…も…もっと……は…激しく…っ…!」

 恥らいつつも求める由美の声を聞かずとも、思いのたけを振り絞り、あらん限りの力

を込めて腰を突き立てる!

 ずんずんずんっ!!

「あ…うっ…んぐっ…す…ごいっ!……や…だめっ…あ…あたし…ま…また…い…く…

……いっちゃうぅ…っ…」

「う…あ…い…いいよ…お…俺もだからっ…!」

「あはぁ…っ☆…う…うんっ……き…来て……ああっ…」

 苦しげに叫ぶように言う瞬に、刹那苦悶の笑みを浮かべ、由美は堪えていた全ての感

覚を解放する。

 ……そして…

 全身が総毛立つような感覚…次いで急激な絶頂感が二人を襲い……

「あっ!あっ!あっ!…っくぅぅぅっ!…い…いく…いっちゃ…あ…あああああ―――っ!

しゅ…ぅぅぅんっっっ………」

「ゆ…由美ぃっ!」

 激しく震える二人の身体から輝く水滴が舞い散り……

「………っっっっ!」

 声もなく、

 ぱしゃっ。

 足元に溜まる水を跳ね上げ、

 二人は、重なり合うようにその場に崩れ落ちた。

 あとには、

 ざぁぁぁぁ……………。
       
シャワー
 降りしきる熱い雨が、震えてなお火照る二人の肌を心地よく叩くのみ……

 

(12)へつづく。

 

 

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