メイプルウッド・ロード
                     
#2番外編

 〜ムーンライトヘブン☆〜

(3)

「………っ!」 

 覆い被さる葉月の甘い髪の香りにつつまれ、刹那…直情的な興奮が智也の頭を

支配する。

 さらに葉月は、そんな智也の興奮を高めるように、のしかかったその体勢のまま、

淫らにも思える動きで舌を絡めつつ、

「んん………あふ……ふふっ……☆」

 気怠いような吐息と共に、蠱惑的な笑みを漏らす。

 やや上目遣いに智也を見詰める眼鏡の奥の瞳が妖艶な色に輝き……

「……っ!」

 智也の頭の芯がかーっと熱くなる。

 それまではあまり感じたことのない、ある種、男の征服欲とでも言おうか、どうしても

その挑発的な笑みを崩したくなる思いが込み上げ―――

「…………」

 だがしかし、いくら楽天主義が身についたとはいえ、そんな誘惑に簡単にノせられる

ほど、短絡的でもない。

 むしろ、意思とは裏腹に高まっていく『獣』としての自分を、もの珍しげに解析し…

(…へぇ………なるほどね…)

 そんな自分を嘲るようなシニカルな笑みを浮かべつつ、クレバーかつ大胆に、智也は

自らの『レベル』をマックスまで引き上げることにした。

 上に伸し掛かられたその体勢のまま、先程の愛撫で、大体のあたりをつけた葉月の

ツボに両手を伸ばし、

「ん…あん…っ」

 二の腕の下側から脇の下にかけて……すぅ〜っと指を走らせつつ、優しく抱きしめる

ように、再度背中に手を回して、

 ぷちっぷちっ。

 柔らかな体重を感じながらも、片手の親指・人差し指・中指の器用な動きでそれを

外し―――。

「…ん…」

 察した葉月が少し身体を浮かせ―――

 二人の身体の間で、ふわりと浮かび…緩んだメタリックロゼを逆側の手で取り去る。

 そして、

 まさに、上からこぼれ落ちるように現れた、たわわな乳房。

 むろん、この体勢…これほどの大きさである。

 それまで押さえつけられるように綺麗な半球を形づくっていたその二つの果実は、

戒めを解かれ、重力の影響を受けて、重そうにぶらさがり、ややそのアーチを緩

めていた。

 だがむしろ、それもまたふくよかな張りと自然な柔らかさをもって、このボリューム

ある質感を、より醸しだしており――――――。

 ともあれ、まさに、そんな表現しがたい淫美で艶麗な光景に、

「…………」

 このときばかりは、さすがの智也も刹那目を奪われ、言葉を失ってしまう。

 むろん幾度か経験のある光景だが、これほどまでに豊かで、かつ均整が取れている

モノ にお目にかかるのははじめてで。

 その一方、

「……あ…あの……智也…?……き…気持ちはわかんないでもないけど…さ……」

 上から覆い被さるように両手を立てた格好のまま、困ったような笑みを浮かべる葉

月。

「あ…ああ……ごめん……」

 内心のドキドキを何食わぬ顔でごまかし、フォロー代わりに葉月を抱き寄せ、

「…ん…んぅ……」

 眉をひそめ、葉月の軽い悲鳴。

 やや荒々しく唇を奪われて。

 刹那意識が逸れたその間隙をついて、智也の掌がその豊かな乳房を包み込む。

 重さを計るように押し上げるその動きで、まさにありあまる柔肉が手のひらから溢れ

、やわらかくその形を乱す。

「ん…んふぅ……」

 五指を巧みに蠢かせ、やわやわと強弱をつけて揉みほぐすような愛撫に、重なった

葉月の唇から熱い息が漏れる。

 ぴんっ。

 中指でその突端を弾けば、

「ん…くぅっ!」

 びくんっ、と身を震わせ、智也の唇から逃れようと身を捩る葉月。

 だが智也はをれを許さず。

 くりくりっ。

 中指で執拗に乳首を弄びつつ、逆側の手で逃げる葉月の身体を封じ、合わせた唇か

ら、さらに舌を捩じ込んでいく。

「んぅっ!んーっ!……んんんっ!!」

 逃げるに逃げられぬまま、智也の身体の上、葉月の身体が跳ね回り…反り返る。

 そんな中、智也は、きゅっ、と締め付けた太ももに手を伸ばし、

 すす〜っ

 と、その内側を指で撫で伝い、

「ひあぁっ」

 快驚入り交じる葉月の悲鳴の間に、智也はすかさず身をすくめるような格好で、頭を

ずらし、唇を乳房へ移動させる。

……ちゅ☆…ちゅ☆

「え…や…んぁぁ…っ」

 軽くついばむような智也の唇は、徐々にその強度を増していき…

 …ちゅ☆…ちゅ〜っ☆

「…!?…あ…!はぅっ…んあぁぁぁ〜っ!!」

 胸の先端から、頭のてっぺんまで突き抜けるような刺激に、葉月の両腕は支えの力

を失う。

「く…くふぅっ……だ…だめ……んあ…ぅっ……」

 突っ伏すように崩れ落ち、動きを制する意味も含めて、智也の頭を抱え込もうとするが、

 つつぅ〜☆

 一瞬早く、智也は身体をずらして、乳房からお腹…さらに臍の辺りまで、舌を這わせて

いく…

「ひあぁぁ…」

 びくびくと震える葉月の細い腰に手を回し…

 ぷち…じーっ……。

(……あ……。)

 腰の戒めが解かれる感覚―――と…同時に、葉月は何かに気付き…

「や………と…智也……」

 タイトスカートのジッパーを外す智也の手を制しつつ、

「ん…?」

「あ…あの…さ……わ…私…かなり…大変な…状態に…なってるみたいで……

…そ……その……できれば……一緒に……」

 なにやら、口篭もりつつ、言葉を選びながら、いいにくそうに言う葉月に…

 だが智也は、そんな謎めいた言葉を即座に理解し、

「……ん…ああ。」

 すぅ……っ。

 引っ掛けた指を、もう一枚…内側に差込み、スカートと共にショーツをも一気に引き下

ろした。

 瞬間…

 その部分だけ…張り付いたものが剥がされるような感覚に…

「ひあ…んっ!」

 ぴくんっと震える葉月。

 次いで、妙にそこだけひんやりとした感覚を覚え、

「……あ……」

 思わず、素のまま、驚いたような声を上げてしまう。

(……え……そ、そんなに……?)

 思ったよりも過剰に反応している自らの身体の変化を、改めて…まさに身をもって知

り、驚きと共に、しばし固まってしまう葉月。

 また、それは、さらに智也が身体をずらすのに十分な瞬間でもあり、

 ちゅくっ。

 ひんやりと寒々しく感じてたところに、熱くぬめりっとした感触。

「え…や…ちょ…!ひあぁぁ!?」

 さきほど聞いたとおり、過敏にも高いデジベルの嬌声を上げる葉月。

(…くす…。)

 智也は、内心ほくそえみつつ、縦の溝線にニ三度、舌を上下させつつ、軽く押し出す

力のみで、ゆっくりとその内部に侵入させていく。

「っ!?……や、やぁっ!と…とも………んあぁっ!はああぁっ!」

 びびびっ!っと激しい震えと共に、大きく仰け反る葉月。

 離れそうになる腰を押さえつけて、智也はさらに深く舌をねじ込んでいく。

 びくっっっ!!!

 葉月の身体は、さらに跳ね上がり――――

「あっ!あはぁ…っ!んふぅっ!や…だ…ダメ…ああっ!そ、それ…っ!わ、私……

んっ!ひ…っ!んああぁぁぁ〜っ!」

 ちょうど、智也の顔の上に跨ぎ腰掛けるような格好になりながら、前のめりにぶるぶる

と震え、苦悦入り混じる表情に顔を歪める。

 そして、これは智也にとって絶好の体勢。

 舌での愛撫はそのままに、下から両手を伸ばして、持ち上げるように豊かな乳房を

包み込み。

「ん…あぁっ!」

 むにむに…と揉みほぐしつつ、両の中指をまったく同じ動作で、その中心の突起へ…

 くりくりっ。

「ひ…っ…?ひぁぁ〜っ!!」

 甲高い悲鳴と共に、びぃぃ〜んっ、と垂直に屹立する葉月の身体。

 また同時に、抜けた足の力が支えを失い、

 くちゅっ。

 より深みへと、智也の舌を招き入れることとなり、

「あ…っ!や…やだっ!んっ…んふぅっ!んっ!あぁ…っ!…はぁぁぁっ!!」

 首を激しく左右に振って、髪を振り乱し、狂おしく喘ぐ葉月。

 狭道に、根元まで深くねじ込まれた舌の小刻みな振動。そして、両胸の突端から絶え

間なく来る刺激に、

「ひあぁぁ……あ…んぅぅぅぅ……」

 感覚だけはそのままに、すぅ〜っと身体の力が抜けていき、次第に、唯一かろうじて

支えとなっている足の力もおぼつかなくなり――――――

(や…このままじゃ………やば……)

 ともあれ、この耐えがたい三点からの刺激を少しでも減らそうと、再び前のめりになっ

て、腰を浮かそうとするが、

 きゅっ…きゅっ

 その動きを察した智也の指に、両の突起を強く摘まれ、あえなく沈黙…ではなく、

 びくびくぅっ…っ!!

「ひあぁっ☆ん…くぅぅっ…ん!」

 再び、急にネジを巻かれた人形のように大きく身を仰け反らす。

 だが、もはやそのまま…上体を起こしたまま身を支えることは出来ず、

「んあぁぁっ!!」

 やむなく、葉月はそのまま智也の身体の上に、仰向けに倒れこんだ。

   

 

(4)へつづく