しようね☆W〜パラダイスナイト☆〜(1)

 

「う〜ん、らいか、遅いな……」

ラップを掛けられ、所狭しとテーブルの上に並んだ料理(もちろん俺の自信作☆)を眺めつつ、

俺は壁掛け時計に、目を移した。

時刻は8:30。

うーむ……、「遅くても8:00には行くよ…」なんて言ってたんだが……。

俺は、まんじりとしない表情で、タバコに手を伸ばす。

今日は、らいかの快気祝い…と、そんなおーげさなものではないのだが、らいかが元気になってから、初めて俺の部屋に来る晩である。……んで、いつものよーに、待たされてるところ。

「…ったくぅ。しょーがねーな。あいつはいつもいつも……」

ぶつぶつ言いながら、俺はタバコをくわえ、カチンッとジッポーのフタを開き…

と、ちょうどそのとき……

ピンポーン。

「お…来たな☆」

即座に俺はタバコの箱を放り投げ、足早に玄関に向かった。

がちゃ。

「おー、なんだよ…遅かったじゃ…………え?」

だが、そんな怒ったような口調とは裏腹に、隠し切れない喜びを口の端に浮かべつつ、ドアを開けた俺の前に立っていたのは……

「こんばんわ〜☆ わぁー、ホントに背ぇ高〜い☆」

らいかではなかった。

………は……?誰……?

見知らぬ女の子の登場に躊躇する俺。ショートヘアの可愛い子だが……。

「あ…え…えっと………あ!らいか」

戸惑ったまま、リアクションに困った俺が、ふと目線を上げれば、その子の後ろにらいかの姿。

なにやら苦笑を浮かべ、手を合わせて俺を拝んでいる……。

………はぁん。なるほど。そーゆーことか。

どこの友達かは知らないけど、どーせ「らいかの彼氏がみたいー」とか騒がれて断りきれずにつれてきちゃったとか…そんなトコだろう。

なるほど、遅くなったのもそのせいか……。

らいかの仕草で瞬時にその意味合いを悟った俺は、軽いため息をつく。

けど……ま、しょうがないよな……。

「おっけ。ま…いーや。とにかく入れよ」

呆れたような笑いを漏らしつつ、らいかとその彼女を迎え入れようとする俺。

すると、

「こんにちわぁ☆」

「ども〜☆お邪魔しま〜すっ☆」

ほぼ同時に、ドアの左右からぴょこんと二人の女の子の顔が現れた。

「っ!!」

……え?ひ…一人じゃないの?

さすがに仰天する俺。

ともあれ、びっくりした顔のまま玄関脇の壁に張り付いて、彼女たちを部屋へと通す俺に、

「ごめんっ…たけあき……」

らいかがもう一度手を合わせて苦笑を浮かべた。

ま…まあ…しょーがねーよ……な……。

 

そして……、

「へぇーっ!男の一人暮らしにしては、結構片付いてますねー☆」

「バカねー、らいか先輩が掃除してるに決まってんじゃん☆」

「え〜でも、らいか先輩ってそんなに家庭的だったっけ〜?」

たちまち、俺の部屋は、甘い香りが漂い、黄色い声が飛び交う女の園と相成った……。

にひひ☆

……はっ!違う違う。

と…ともあれ、俺は口元に浮かびかけたへらへら笑いを打ち消し、4人の会話が弾み始めた頃合を見計らって、キッチンへと向かった。

言うまでもなく、追加分の料理を作るためである。

らいかの快気祝いということで、かなり豪勢には作ったつもりだけど、所詮二人分。5人で食べるにはさすがに足りないだろう。なんかやたらと食いそうだし……この彼女達……。

(うーん、けど…何作ろっかな。手早くできて、腹にたまるもんがいーんだろーけど……)

などと、シンクの前に立ち俺が模索していると…

「……たけあき」

おずおずと気まずそーな表情を浮かべ、らいかがキッチンに入ってきた。

「ん?」

「あ…あの……ごめんね……。あの子達、高校んときの部活の後輩なんだけど……今日、会社の帰りにばったり会っちゃってさ……」

「ん?部活の後輩?ああ…らいかってテニス部だったっけ?」

なにやら、申し訳なさそうに言うらいかに、こともなげに答える俺。そういや、その時のユニフォームが見たい〜って

ダダこねて、らいかを困らせたことがあったっけ(笑)

「……うん、で、久々だから…ってゆーんでちょっとお茶してたんだけど……なんか連れてくることになっちゃって……」

「ああ、いやもう、連れてきちゃったもんはしょーがねーし、別に気にしてねーよ。ま…ちょっとびっくりしたけど…」

それに…三人とも可愛いからOK☆…と、これは口が裂けても言えんな……。

「そ…それよか、こっちはいーから、向こう…ちゃんと五人テーブルに付けるようにセッティングし直しといてくれよ」

言って俺は、またも口元に浮かんだ薄ら笑いをらいかに見せないように、背を向けたまま後ろ手にリビングの方を示唆する。

「うん。わかった」

俺が怒ってないことを確認して、ほっとしたのか、らいかは顔を輝かせて、キッチンを後にした。

 

とんとんとん。

手馴れた動作でまな板の上、包丁を翻す俺。

酒のつまみに取っておいたサラミやチーズ、ソーセージなどを用い、簡単なオードブル系の皿を何枚か作って、料理の水増しを図っているところ。

その背中に、

「ほらほら…そこ、お客さん面してないで、手伝いなさーい!ほら、そっちのコーヒーテーブル持ってきて……。

こらぁ、TVなんか見てないの!ちんたらやってるとご飯食べさせないよ!」

「はぁい」

えらそーに先輩風を吹かせているらいかの声が届く。

くくく……いつも子供っぽいらいかのこーいうしゃべり方を聞くのは初めてで、なんか新鮮だ。

ともあれ、にわかにがたつき始めたリビング……らいかの指示で、3人の女の子たちがてきぱきと作業を開始した様子が伺える。

へぇ、人はみかけによらないっつーか、なかなか慕われてるんだな、らいか。

などと、素直に俺が感心していると……、

「あ…らいか先輩……だめだよ〜こんなところにコンドーム落っことさしといちゃ〜」

……おいおい(汗)

「え…う…うそ?」

「あはは☆うそでーす☆」

「う……っく…」

「きゃはは☆らいか先輩、相変わらず可愛い〜☆」

……ま、まあ、あんまり先輩としての威厳というものはないようだが……。

 

(2)へつづく