甘い欧州旅行

第二章「しなやかな女豹」

(3)

「あ…ッ…ア…ッ! い…いいわ…、基明…ク…ン…っ、じ…上手……」

「く、よ、洋子さんこそ……」

 濃厚なキスを何度も重ね、俺たちは互いの肉体をまさぐりあう。

「アッ、はあん…っ、そ…それ、そう…そこ…よ。あ、ああ…基…明クンッ!」

 もはや、ためらいなど微塵もなく、大胆に、そして淫らに喘ぐ洋子さん。

 乱れる髪が頬や首筋に張り付き、紅潮した顔を歪めて、時折、首を左右に激しく振

り乱す。

 その想像以上の洋子さんの乱れ様に、俺は半ば圧倒され、また、よりいっそう激し

い欲情を駆り立てられてしまう。

 やがて、

「はぁぁぁっ!! あ…あ…アーッ、だ…ダメ…、あ…あたし、も…もう…が…我慢できな

い…っ!」

「じ…じゃ…、い…入れていい…、洋子さん…?」

「う…うんっ! き…来て…アンッ…い、入れて…は、早…く…」

 俺はまるっきり勢いのまま、その猛り狂ったこわばりで洋子さんの身体を貫いた。

 ず…ずぶ……

「ヒ…ッ! んぐ…っ……は………ああああああああああーッ!」

 頭の横、後ろ手にシーツを握り締め、絶叫に近い鳴き声を上げる洋子さん。

「く…うっ、よ…洋子さん…、どう…? 」

 激しく分身を締め付けられながら、前後運動を繰り返しつつ、俺は聞いた。

「あ…熱…い…っ! あ…ンッ…アアッ…、んぁ…イイ…ッ…で…も…基明クン、も…

も っと……は…激しく!」

「え…? う…うん……」

 俺は最初から充分激しく攻めているつもりだったので、この洋子さんの言葉には、

少々面食らった。

 ……マジかよ? けど、お望みとあらば……やるっきゃねえか!

 多分にオーバーワークと思いつつも、俺は腰にめいっぱい力を集中させ、縦へ横

へとよりいっそう激しく洋子さんを攻め立てた。

「んんっ!! くはぁっ! そ、そうよ…イ…ッ、いいわ……じ…上手よ…アァーッ…!」

 がくがくと頭を揺すり、歓喜の声を上げて喘ぐ洋子さん。たわわに揺れる両の乳房

が、 俺の掌で激しくもみくちゃにされる。

「あは…んっ……い…いいわっ! も…もっとよっ!」

 そして、申し合わせたように、洋子さんは両足を俺の腰に絡め、ぎゅうぎゅうと締め

付けてくる。

 くううっ! すごい……もう、もたない…かも……

 はっきり言って、俺は完全にペースを崩していた。

 いつもの慄然とした洋子さんが乱れる様、想像以上に豊かで柔らかな乳房、そして

中と 外からの激しい締め付けと振動……。これら心身共に押し流す快感の濁流が、

急速に俺を 喜悦の頂点へと押し上げていく。

 このままでは……

「く…よ…洋子さん、お…俺…」

「アアァーッ…あ、ヒッ…あたし…、い…イき…そ…アア…ォ…イ…イかせてぇーっ!」

  俺は救いの声を聞いたような気がした。

 よし…それなら……

 俺は絡み付く洋子さんの両脚をほどいて、膝の裏側に手を当てると、洋子さんの

身体を 折り曲げるように、両脚を前へと倒す。

「え…あ…? な…何…?」

 身体を、ほとんど二つ折りにされたような、あられもない自分の姿に気付き、洋子

さんは懐疑の顔を俺に向けた。

 そして、俺はそれに応える代わりに、ひとたび腰を大きく引くと、強く前に打ちだ

し、 あらんかぎりの力を込めて、思い切り奥までねじこんだ!

「んぐッ!? あふぅッ! ハァッ! そ、それ…ッ! ォアア…ッ! す…スゴイッ! 

お…奥まで…あぅ…き…来て…る………くあぁぁぁぁぁぁ…ッ!」

 二つ折りのまま、俺に押し潰されたような格好になり、洋子さんは獣じみた嗚咽を

上げ、悶え狂う。 しかし、今の俺にそれを眺めて楽しむ余裕はなかった。

 深く、強く、激しく。三度ほど洋子さんを貫いたとき、

「はあうッ!くぅ…っ………イ…イクッ!! はあああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 洋子さんは全身を狂おしく波打ち震わせ、長い絶叫を残し、果てた。

 また、それとほぼ同時に、

 「クゥ…ッ!」

 低い叫びと共に、俺の身体はまるでねじの切れた人形のように動かくなり、どさりと

洋子さんの胸の中へ倒れ込んだ。

 豊かな二つの丘が、柔らかく俺の顔を包む。

・・・・・・・・・・・すごかった。こんな快感があるとは……

 暫くの間、俺たちの身体は歓喜の痙攣が止まらず、互いの荒い息を耳にするだけ

だった。

 やがて、

「はあっ…はあっ………よ、良かったぁ……俺……こんなH初めてだよ…。」

「は…ぁ…あふ…は…あ…あたしも…久々…よ…こんな激しいの…」

 肩で息する俺に、やはり呼吸を整えつつ、洋子さんは答えた。

 ……うーん、イップクしたいトコなんだけど……上着、ソファに置いたままだしなあ

…取りに行くのも……

 などと、俺が考えていると、

「基明クン…キミ、凄いわね…アメリカ人並みよ…あんなの…」

 言葉と共に、寄り添う洋子さんが、火の点ったメンソールの煙草を俺の口にくわえ

させてくれた。

 すーっとしたメンソールの香味が口一杯に広がる。

 …へえ、『ヴァージニア』…ね。なんか洋子さんに、似合うような似合わないような

…(^^;

「フゥーッ。ありがと。こういうときにメンソールって美味いね……

 ……で、なに?『アメリカ人なみ』だって? へへ……やっぱ遊ンでんなぁ…洋子さ

ん?」

「えへへぇ。バレたか…? ま…いいじゃない。そ・れ・よ・り。ね………」

 意味深な目付きでごろりと首を横に倒した俺に、ぺろりと舌を出し、ウインクする洋

子さん。って、え…?

 ぞくり。

 俺の股間に、何かが……。これって、洋子さんの手? まだ濡れたままの俺の分

身をまさぐっている…?

 ……おいおい。

「!! え…っ? ちょっ…洋子さん…、あ…明日、大丈夫…?」

「だいじょぶよォ…、だってキミたち言ってたじゃない? あたしはパワフル添乗員な

んでしょ? それより…キミはもう、ダウンなのかナ………?」

 慌てる俺に、洋子さんはまたもあの妖艶な『女豹』の笑みを浮かべていた。

 

 …ジュネーブの長い夜が、なお更けていく…………

 

第三章「魔女が魔法を使う刻」へつづく・・・・

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