*ホワイトルーム*

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 ある初夏の午後。

 

 あーあ、午後の授業かったりいなぁ……

 えっと、まだ「数・U」.はそんな休んでないし、熱出たって事でばっくれちまお…

 

 昼食後、穏やかな陽気、控えているのは嫌いな授業………
    
くりもと あきら
 俺…『栗本晃』の足は、思うよりも先に保健室へと向いていた。
           
さとう せいこ
 加えて、校医の『佐藤誠子』先生に会えることも手伝ってか、廊下を進む俺の足取

りは 軽快にスピードを上げてゆく。

…こんこん……がちゃっ。

「失礼しまーっす!」

 俺はノックをすると元気良く保健室のドアを……って、やばい。もっと病人らしく

しないと………。

「あら、栗本じゃない。どうしたの?」

 俺に背を向け奥の机に座っていた佐藤先生は、椅子をくるりと回転させ、こちらを

向いた。

 さらさらのショートヘアが僅かに舞い、先生は俺の顔を見てイタズラっぽく微笑む。

 なびく白衣の裾から、覗く白い足が眩しい……

 佐藤先生……俺の通う赤崎高校の校医で、年齢は二十四、俺たち高校生からみ

れば、まあ…いわゆる大人の女性である。

 もっとも、彼女は年齢の割りには童顔で、また、性格はきさくでさばさばとしてお

り、 俺たちにはずっと身近な存在に感じられた。

 ……まあ、となりのお姉さん的存在、とでも言おうか。

 また、白衣の内に潜むそのプロポーションは幼く見える顔とはアンバランスに思え

るほど、成熟した大人のそれであり、常に俺たち男子生徒の目を釘づけにしてい

た。

 とはいえ、気丈な彼女の性格は、好奇心旺盛な俺たち思春期の男子とも十二分に

渡り合うものであり、からかい半分に発する俺たちのスケベな言動など、軽くあしら

い、逆に俺たちの方がやり込められることもしばしばであった。

 …ま、それはともかく……

「いや…なんかちょっと身体が…だるくって……」

 言葉と共に俺はすぐに具合の悪そうな顔を作った。

「どれぇ…? また怠け病じゃないの? 入ってきたときの顔とずいぶん違うわよ」

 佐藤先生は立ち上がり、俺の額に手を当てた。

 やべえなあ……やっぱ、気付かれてたか……

 ところで、その日の先生のいでたちだが、白衣の下は白のブラウスに黒のタイトス

カー ト、といった……まあ、シンプルなものであった。

 え・・・? なぜ、白衣の下が分かるのか、って?

 いや、別に覗き込んだわけじゃない。初夏の折、暑かったせいか、先生の白衣の

前は開けれており、袖を捲り上げている、というスタイルだったからだ。

 まあ、地味といえば地味な格好なのだが、先生の曲線に富んだプロポーションは

白衣の 上からでも滑らかに腰のラインを描き、さらに差し込む光が上半身のシルエ

ットを浮かび上がらせ……

 うわぁ・・・☆

・・・・・・・俺の目には、この上なく眩しく映った。

 動揺し、胸の鼓動を高まらる俺。

 一方、そんな俺の心中を知らない佐藤先生は、俺の額に手を伸ばし、何度か自分

の額と 俺の額の熱を比べ、やや難しい顔になっていた。

「……うん、ちょっと熱…あるかな?」

 興奮による発熱………正しく俺にとって、『怪我の功名』であった。

 …お、これなら『手首で体温計をとんとん』の技はやんなくていいかな?

 ちなみに、ウチの学校の保健室では、今だに水銀式の体温計を使っている。

 『手首で体温計をとんとん』とは、握った体温計のお尻の部分をこっそり逆の手首

に当て、二三度軽く叩き付けるのだ。

 そうすると、水銀が強制的に跳ね上がり、見事偽りの発熱状態が作り出せるので

ある。

 とはいえ、力の入れ加減を間違えると、いきなり四十度とかのシャレになん

ない熱になったり、水銀が途中で切れちゃったりするのだが……俺はこの力の入れ

具合が異様にうまい!!

 …ま、今はそれをご披露するまでもなかったけどね。

 内心ほくそ笑む俺に、ところが先生は意外な台詞を口にした。

「しょうがないわね、少しベッドで寝てなさい」

 ………え?

 早退できるとばかり思っていた俺は、先生のそのセリフに少々面食らった。

「えぇーッ? 先生、だってあと五、六時間目しかないんだよ! もう家に帰ってもい

いじゃん」

「ダーメ! 薬飲んで一時間横になれば良くなるわ。そしたら六時間目は出られるわ

よ」

「ま…マジ…で?」

「そうよ、さ…早くこれ飲んで横になりなさい」

 そう言うと、佐藤先生は薬棚の中から風邪薬を取りだし、俺に差し出した。

「あーあ、しょうがねぇなぁ……」

 うしろあたまを掻きつつ、薬を受け取る俺。

 そして、先生は……

「そうよ、キミの考えなんか先生、お見通しなんだからね! ま、一応熱あるみたい

だから、とりあえず君の言葉、信用しといてあげる。

 何の授業か知らないけど、いやいや受けて熱でも上げられたら困るからね……

 さ、分かったらおとなしく寝た寝た!」

 まだ薬も飲み終わらない俺を、ついたてカーテンの向こう、ベッドの方へと押し込ん

だ。

「ち、ちょっとぉ、先生…俺まだ薬………」

「ん…? 何? 文句ある?」

「ううん、それじゃおやすみなさーい……」

 佐藤先生の妙な迫力に、俺は貰った錠剤を口に放り込み、水で流し込んでベッド

へと向かった。

 …んじゃ、しょうがない。お昼寝タイムといきますか……

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 がたんっ……ごとっ…ごとごと……

 数分後…、薬が効いてウトウトしだしたときであろうか、何やら家具を動かしている

ような物音で俺は目を覚ました。

 …何だよ? せっかく気持ちよくなってきたところなのに……

 寝ぼけ眼をこすりながら、俺は佐藤先生がいる場所との仕切りになっている、つい

たて カーテンを指で少しだけ開いた。

 すると……

「あれぇ……? おかしい…なあ。この辺に落ちたはずなんだけどなあ……」

 なにやら、机の下に屈み込んでいる佐藤先生の姿が目に入った。

 どうやら何か落としたらしい。少し顔をしかめて机の奥のほうに片手を伸ばしてい

る。

「んんんっ! も…もっと奥かしら?」

 やがて、先生は半身を開き、さらに腕だけを机の奥のほうへと伸ばす。

 …お! おおっ!?

 跪いて半身を開いたせいか、先生のタイトスカートは少し捲れ上がり、白くすらりと

伸びた足が太ももの辺りまで見え隠れしていた。

 ……………

 しばしその様を凝視する俺であったが、何か罪の意識を感じて、カーテンにかけて

いた指を放した。

 光は遮られ、元通り俺のいる部屋は薄暗さを取り戻した。

 …う…うーむ。

 だが、再び寝ようにも、あまりの刺激的な光景を見てしまったせいか、俺はすっか

り目が覚めてしまった。

 むろん興奮はすぐに治まったが、眠気は飛んでしまったため、すぐに俺は暇を弄

ぶようになった。

 …さて、どうすんべえか? やだぞ。このまんま一時間近くじっとしてんのは。

 暇潰しに、もう一度カーテンを捲ってみると、まだ先生は身を屈めていた。ただ体

勢は 変わっており、今度は俺に背を向けるような格好になっていた。

 …なんだよ、まだ取れないのか。しゃあない。ちっと、退屈しのぎに手伝ってやろっ

かな。………へへ。

 俺はあるひらめきを胸に、ゆっくりとベッドから起き上がると、そろりそろりと先生

の背後へと近寄っていった。

 そう、捜し物を手伝う前に、後ろから先生を驚かせようと。

 ところが………

「ん…? うわぁっ!?」

 おおぼけである。俺は、床に這う何かコードのようなものに足を引っ掛けてしまい、

前のめりにバランスを崩して先生へと勢い良く突っ込んでいってしまったのだ。

 「……え? なに………キャァァァッ!!」

 突然の声に驚き、振り返った先生。

 だが、振り返り様、俺の身体がそこへ突っ込んでいったのだ。むろん先生は俺の

身体を支え切れず、ちょうど俺が先生に覆い被さるような格好になり・・・・・・

 どたんっ!

 俺たちは重なり合ってその場に崩れた。

「いてて……ご…ごめん、先生…」

 俺はどこかにぶつけたらしい額を押さえつつ先生を見て言った。

「あたた……な…何?」 

 するとどうやらぶつけたのは先生の額だったらしい。先生も同じ場所を押さえ顔を

しかめていた。

 俺は痛みを堪え、目をしばたたかせる。

 すると……

 …え? おおおおおおっ!!

 衝撃的なものが俺の目に飛び込んできた。

 なんと、今のショックで先生のブラウスのボタンが弾け飛んで、先生のその豊満な

乳房が真っ白なブラジャーに隠されつつもあらわになっていたのだ!

 ●×▲■!? えええええ・・・えーっと、えーっと・・・・・・・・

 額の痛みなどは、当然ぶっ飛び、ぐわんぐわんと揺らぐ思考が、混乱と欲望とをこ

ぞってかきたて、俺の理性のタガを緩ませる。

……………ぷち。

 やがて、俺の頭の中で何かが弾けた……

「…もう…な…なんなの…? 栗本………」

 ようやく、痛みから解放され、俺に問いかける先生。

 だが……、

「……えっ? ええっ!? な…何…? ア…ッ!!」

 すぐに自分の乱れた格好に気付き、両手で取り繕うとする……

 しかし、俺の伸ばした手が彼女の両手を押さえ込むのは、それよりはるかに早か

った。

 ・・・うそだろ・・・?

 自分でも、信じられぬほど、すばやく、的確な行動であった。

「あぁっ!? だ…だめっ! く…栗本っ! は…放しなさいっ!!」

「せ…先生っ! だめだよっ! お…俺もう我慢できないっ!」

 言うや否や、息を荒げた俺は、開かれた先生の胸へと顔をうずめこんでいた。

「だ…だめ…よ んはっ…! く…栗本っ…や…やめて……」

 先生は必死で俺の暴挙を止めようともがくが、無我夢中で自分の肉体を求めてく

る俺に、その抵抗の力は徐々に弱まっていった。

 そう、いくら先生が気丈な女であっても、所詮こういう時の男の力にはかなわない

……

 やがて俺は、自分でもどうやったか分からないが、もがく先生の動きを制して、豊

かな 乳房を隠す下着を強引にはぎ取り、まるでたわわに実った果実にでもむしゃぶ

りつくかのように、顔を埋めていた。

「い…いやあぁっ!あ…あ…! だ…だめぇっ!!」

 口調は激しいが、先生の抵抗の力はさらに弱まる。

 俺はさらに、今度は口を尖らせて、赤んぼうのように、それに吸い付いた。

 …むろん、このときは知らなかったが、この愛撫は今の先生に最も効果的であっ

た……らしい。

 そう、先生はここを攻められるのが、特に弱かったのである。

「ヒッ…ぁ! あ…ああぁぁ…ん……だ…ダメ……いやぁぁぁぁ…ぁ…」

 固く凍て付いた氷が溶けていくように、先生の強張った身体から力が抜けていく。

「あ…あはぁ……は…ぁ…ん…」

 身体を震わせ、何かを耐えるように指を噛む先生。

 俺は本能的にこの機を逃さず、スカートを捲り上げ、手を中へと滑り込ませた。

「あ…だ…め…そ…そこ…は」

 滑り込んだ俺の五指はなめらかに太ももをなぞり、その根元にたどり着く。

「……あ……やっ……」

 驚きと躊躇を示す先生の小さな悲鳴。俺はすぐにそのパンティの上から、割れ目

に沿って、こすりつけるように指を這わせた。

「くぁっ…は! あ…あうっ…んっ! はぁッ…いや…だめ…んっ…だめ…よ……」

 身体を激しく捩らせ嗚咽を洩らす先生。だが発する声から今だ抵抗の言葉が。

 もっとも、俺の指はその布地がじんわりと湿り始めているのを感じており……

 俺はここぞとばかりに指の力を集中し、そこを何度も攻め立てた。

「アーッ! あ…うっ…、だ…だめ…ダメっ!! …くっ…ハアッ、んっ…!あっ!あっ!

あああ…んっ!」

 先生の声に違うニュアンスの喘ぎが混じり始める。

 もはや、抵抗の意思はないようだ。

 そんな先生の心中を察し、俺はいったん指の動きを止め、先生に優しく唇を重ね

た。

「んむ…っ! ………ん…んん……」

 潜り込む俺の舌に、先生は躊躇しつつも、やがてゆっくりと舌を絡ませ始めた。

 そして……

「わ…わかった…わ。栗本……わかったから、ちょっと待って……」

 やや緩んだ俺の力を制しつつ、先生は俺の下からするりと抜け出し、立ち上がっ

た。

 そして、はだけた服を押さえつつ部屋のドアまで歩み寄り、

「…いい? ここを閉めたら……もう、あともどりできないわよ……」

 ドアノブを後ろ手に、上目遣いで俺を見た。

 そう、まるでイタズラっ子をいなすような目で……

 ただ、黙ってうなずく俺。

 先生の右手が動くのと同時に、カチリと鍵の落ちる音が響いた。

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