メイプルウッド・ロード
                     イ ヴ
〜#1.小雪舞うカムループスの聖夜〜

 

(5)

「………え?」

 意外にも、そこにあった瞬の表情は、由美の想像していたものとはまるで異なり、あた

かも何か精密な仕事を慎重に行っているかのような、無我夢中…真剣そのものであっ

た。

「……あ、わ…わりぃ…夢中になっちゃって……な…なんか変だったか?」

 唖然とした表情の由美に見詰められていることに気付き、気まずそうに苦笑を浮かべ

動きを止める瞬。同時に張り詰めていた緊張の糸もふっと緩んだ。

 そう、何も瞬はこの一連の動作を冷静にこなしていたわけではなかったのだ。

 なにしろ、瞬にしてみれば、想い焦がれた由美と、ようやく迎えられた念願のひととき

である。

 むしろ、限界近くまで高まった興奮を抑えるのに、四苦八苦していた。

 だが…いや、それゆえにこそだろう、焦る気持ちが行動を迅速に、また由美を想い、

いたわる気持ちが乱暴な振る舞いになるのを抑え、ある種手慣れたように思えるソフト

な動きを偶然生み出したのである。

 もとより、そんな落ち着いてコトが運べるようなら、ここまで辿り着くのにあれほど二の

足を踏みまくることなどないだろう。

 その証拠に、

「……え…あ…ゆ…由美…?」

 集中がとぎれた今、なにやら瞬は戸惑い気味の表情を浮かべ、自らの行動に躊躇し

ているようだった。

「………くす…」

 思わず、軽い笑みをこぼしてしまう由美。

 そんな瞬の表情の変化から、何となく一連の瞬の心情が分かったような気がして。

「な…なんだよ…や…やっぱどっか変…だったか……?」

「え…? あ…ううん、そんなことないけど…なんか、意外に慣れてるなーって。

 あたし、瞬のことだから…もっと、こう『がおーっ』って、くんのかなって思ってたから

……」

「ば…ばかやろ…ひとぎきのわりーこと言うなよ!」

 からかうように言われ、慌てる瞬。その拍子に、ほんの僅かではあるが、由美の乳房

の上に乗せていた手に力を込めてしまう。

 瞬間、ぴくり、と動いた指先がすでに堅く突起していたその先端を挟みこみ……

「………え?……ん…んあっ…っくぅぅぅんっ!!」

 新たに走った刺激に、びくんっ、と身体を跳ね上げ、由美は震えながら首から上を大

きくのけ反らせた。

「あ…ご…ごめん……痛かったか?」

「う…ううん……だ…だいじょぶ……で…でも…やさしく…ね……」

 慌てて手の力を緩める瞬に、しかめた顔を起こしながら、片目をつぶって苦笑で答え

る由美。

「あ…ああ。…じゃ…つ…続けて…いいか……?」

「うん………」

 おずおずと尋ねる瞬に、由美は小さくうなずいて、再び目を閉じた。

 瞬は少し身体を浮かせて、ゆっくりとTシャツをたくし上げていき……

「……………!」

 唐突にそこで言葉を失った。

 淡い間接照明のもと、ほんのりピンク色に染まった肌の上、

 初めて生で見る、ふくよかな由美の乳房……

 それは、瞬が想像していたより、さらに大きくまた美しかった。

 仰向けの体勢ゆえ、重力の影響で、多少は押し潰されているような格好になってはい

るものの、その存在感や美しさを損なうというものではなく、かえって自然な柔らかさを

醸し出していた。

 例えていうなら………?

 丸くて白いプリン……いや、巨大なマシュマロ……いやいや………

 巡る瞬の頭の中に次々と柔らかいものの代名詞が浮かび上がる……が、どれを上げ

ても、この目の前のある種圧倒的な存在を表現できるような例えは、むろんひとつもな

かった。

「……………」

 時を忘れ、ただじっと、その豊かなふくらみに目を奪われてしまう瞬。

 だが、もちろん、これは由美にしてみれば、たまったもんではなかった。

 首下あたりまで中途半端に脱がされ、そこで手を止めた瞬が、ただじっと自分の乳房

に熱い視線を注いでいるのだ。

 むろん、その大きさゆえ、視線をそこに向けられてしまうのには慣れている。

 とはいえ、こうもバカ正直にまじまじと見つめられると……しかも、覆い隠しているもの

もなく、この距離である。

 いかな気の強い由美とはいえ、これはあまりにも恥ずかしく、まさに火が吹きそうな思

いが込み上げ、見る間にその頬が真っ赤に染まった。

「ちょ…ちょっと…も…もう…そこで固まんないでよ……いくらなんでも…は…恥ずかしい

よ……」

「あ…わ…わり……」

 赤く染まった頬のまま怪訝な顔で訴える由美に、我に返って謝る瞬。気を取り直し、再

びTシャツを脱がしにかかる。

 ………ん?

 と、そこで……

 ……あ…☆

 珍しく…というか、初めて見る由美の恥辱の表情と、脱がしかけのはだけたその姿態

に、瞬の頭の中で何かがひらめいた。

「…………」

 含み笑いが漏れそうになるのを堪えつつ、瞬は捲り上げる親指にぐっと力を込める。

「ん……」

 一方、何かよからぬ事を思われているとは露知らず、気を利かせ、脱がせやすいように

両手を上に掲げる由美。

 瞬はTシャツの襟首に親指を差し込み押し広げて、由美の頭から抜き去り……

 そして、

「え……?」

 掲げた由美の両腕にTシャツを巻き付かせたまま、布地が弛んだ部分を押さえ付け

た。

「え……? ちょ…瞬……な…なに?」

 ちょうど、『バンザイ』をした格好で固められ、瞬に懐疑の目を向ける由美。

 だが瞬は、口元にわずかな笑みを浮かべただけで何も言わず……

「ああっ! ちょ…しゅ…瞬っ!?」

 ゆっくりと顔を下ろし、そのまま由美の乳房にむしゃぶりついていった。

「んぁぁっ!…ちょ…やだ……ちゃんと…脱がせ…て…って…ああっ…だめぇ…」

 由美は大慌てで訴えるが、むろん瞬が言う事を聞くわけがなく、また、抵抗しようにも

両手はTシャツに絡められた上、瞬の手に押さえ付けられているため、どうにもならな

い。 

また、そんな由美に瞬は乳首を口に含んだまま、少しだけ顔を浮かせ、

「んー? そーいえば、おまえ、さんざん言ってたよな? 俺の『豹変』が見たいとかなん

とか……」

「んん…あ…ふぅ…っ………え?」

「大変お待たせいたしました☆ んじゃま、リクエストにお答えすると致しますかね……」

「え……そ…そんな…ちょ…待っ………あ…あ…あああーっ!」

 とぼけた口調でそう言う瞬に言い返す間もなく、由美の乳房の先端に、ぬめるような感

触が襲いかかってくる。

 …ちゅく…ちゅぷっ……

「や…やだ…ぁ……あ……あ…はぁっ……ん……くぅぅ…」

 抵抗する由美の悲鳴が熱い吐息に変わり始め………

「んっ……」

 それを見計らって、瞬はつぅーっと、舌を這わせながら唇を首筋まで移し、熱い吐息を

吹き掛けた。

 ……ぞくぞくぞくぅっ!

「あ…はぁっ! ふぁぁぁ…あっ…はぁぁ…んっ!」

 首筋に走った震え上がるような感覚に、身を捩って喘ぐ由美。

 同時に瞬は、押さえ付けている手はむろんそのままで、空いているほうの手を、空き

家となったその大きな乳房にもっていき、次いで優しくまさぐり始めた。

 ちょうど、首筋に這わせている舌の動きに連動させるように………

「ん…は…っ…ああん…っ…し…瞬、ち…ちょっと、ま…待って…あん…わ、わかったか

ら…『豹変』わかったから……んああ…ッ!」

 思いとは裏腹に、急速に高められていく自らの身体に驚き、由美は待ったをかける

が……

「んあ…? ばーか。ここまで挑発しといて何言ってんだよ? だいたいなー、俺はヴィ
                          、、、
クトリアに帰ってから、ちゃんとお前に告白して…それからこんなことしようと思ってたん

だぞ……だいいち、もうここまできちゃったら…あとには引けませんねェ…」

 意地悪く微笑み、『こんな』の部分で、アクセントを付けるように、乳房をこね回す瞬。

また、ついでに…といった感じで、突起したその先端をやや強く摘み上げた。

「え…?あ…あはぅっ!!くぅぅぅ…んっ!…そ…そんな……だ…だからって…こんな……

ああっ…ず…ずるい…い…イヤ…ッ…アッ…あ…あぁ……」

 次々に襲い来る快感の波から必死に逃れようとする由美だが、すでに身体は興奮に

打ち震え、まるで力が入らず……

「く…アーッ…! や…そ…そこ…し…瞬っ、か…感じすぎちゃ…やっ…ああーっ!」

 両腕を吊された人形のようになって身体をしならせて、喘ぐしかない。

 やがて瞬は、乳房をまさぐっている手と唇を同時に下にずらせていき……

「あっ…はぁぁぁ……」

 唇は再び乳房へ、そして……

「あ…っはぁはぁ……え…?そ…そこは…だ…ダメ…まだ…あん…瞬…お、お願…

…ああ〜っ!」

 瞬の手はするするっと柔らかな肌の上をすべり下り、スパッツの中に潜り込んでい

った。

「ぁぁ…ぃ…ぃゃぁぁぁぁ……」

 普段の気の強い姿からはとても考えられない由美のか細い声。

 瞬の中指が触れたショーツの布地は、すでにぐっしょりと濡れていた。

「ふーん? 胸…感じやすいって言ってたけど、ほんとな……」

 冷やかしとも感嘆とも取れる口調で呟く瞬。

「あ…はぁ……や…やだ…そ…どーしてそんなこと言うのよぉ……」

「……だって、ほら……」

 泣きそうな声を上げる由美に、瞬はその部分を軽くつんつん、とつついてみる。

「ひ…ぁ…………ッ!」

 たわわな乳房を揺らし、身をのけ反らせて、声にならない悲鳴を上げる由美。

「な?」

「はぁはぁはぁ……ば…ばかぁ……やめろ……へんたいっ!」

「ほぉぉぉ? ばか…?へんたい…? ふーん、よく言えンな。……だいたいおまえ、今

命令できる立場か……?」

 言って瞬は、指先でショーツを捲り上げ、潜り込ませた別の指で直に触れ始める。

 …ちゅ…ちゅくっ……

「あ…あ…っ、はあぁ…ヒッ…いや…ぁ…ダ…ダメ…ェ…アア…ン…しゅ…ん…」

 しとどに溢れる泉の表面をすくうような瞬の指の動き、そのひとつひとつで由美の身体

が小刻みに震える。

 もはや、完全に由美の身体から余分な力は抜けていた。

 その様子を見計らい、瞬は由美の頭の上の押さえ付けていた手を離し……

「……はぁはぁ……あ……?」

 身体を起こすと同時に、由美のスパッツに手を掛け、一気にショーツもろとも引き下げ

た。

 細いウエストが、より際立つような、たっぷりの肉感を持つヒップから太ももへの滑ら

かな曲線…そこからすらりと伸びる由美の白い両足が露になる。

「え…? あっ、や…やだ…っ!」

 するんっ…と下半身が寒くなり、驚いて由美は身を起こしかけるが、今だ両腕に絡まっ

ているTシャツのため、動きが遅れる。急ぎTシャツを脱ぎ捨て、慌ててあらわになって

しまったその部分を隠そうと手を伸ばす…

 が、

「おっと……」

 一歩及ばず、素早く瞬にその手を制されてしまった。

「ああっ…しゅ…瞬……」

 恨みがましい目を向ける由美。それでもとりあえず、なんとか両足を折り曲げ、身体を

丸めるようにしてガードしようとする。

「お☆」

 だが、瞬はそんな由美の動作にむしろ嬉しそうな声を上げ、

 傍らに押さえ付けた由美の手首から手を離し、折り曲げられた膝に両手をかける。

「え……?」

 そして、

 あろうことか瞬は堅く閉じられた由美の両脚をこじ開けていった。

「アーーーッ!! 瞬っ!……ダ…ダメだって…アアッ…や…やめなさいよ…っ!」

 足をじたばたさせてもがく由美。途中蹴ったりもしてみたのだが、逆にその足首を掴ま

れてしまい……

「あのなぁ…由美、俺も一応男なんだぜ? ここまできて途中で止められるわけないだ

ろ…これからよく勉強するように……」

 呆れたような笑みを浮かべつつそう言った瞬は、太ももの内側を滑るように頭を潜り

込ませていく。

「あ……や…やぁ…だぁ………」

 股ぐらに頭を突っ込まれ、これまで以上にどうしようもない恥ずかしさに包まれる由

美。

 かろうじて、伸ばした両手で瞬の頭をつかんで引き剥がそうとするが……

「んぁッ! あ……くぅぅぅぅぅ…っ!」

 尖らせた瞬の舌に一番敏感な部分をつつかれ、びくんっ、と大きく身体を跳ね上げ

た。

 それは、一瞬、意識がどこかに飛んでいってしまったような感覚…いや衝撃に近か

った。

「はぁはぁはぁ…あ…し…しゅぅん……」

 顔を起こして潤んだ瞳を下に向ける由美。

 今の衝撃で、恥ずかしさはどこかへ飛んでしまい、代わりに、由美の頭の中ではこれ

からされることの不安と…そして少しの期待が入り混じっていた。

「……………」

 だが、予想に反し、瞬の舌の動きが激しかったのは最初だけで、後はその周囲のさほ

ど感じない場所や、脚の付け根の辺りを舐め回すだけ………。

 むろん、そんな優しく丁寧な動きも、悪いものではなかった。

 時折、膝の裏側を指でくすぐるような動きも、安堵を覚える心地好い感覚であったが、

これでは、どうにも真綿で首を締められているような感じで……

 …ん…あ……き…気持ちいいけど……でも……

 由美の中では、期待の気持ちだけが少しずつ膨らんでいき、そして徐々に焦れていっ

た………。

 普段とことん鈍いこの男のどこに…と思えるような、なんとも巧妙なじらしのテクニック

だが、先程のことも含めて、どうやらこの瞬、自分でも気付いていないらしいが、相当な

『才能』を持っていたようである。

 奇しくも極度の興奮がそれを呼び覚ましてしまったのか……

 論ずるに値する興味深いテーマだが、もちろん今はまったくの余談だろう。

 ともあれ、やるせない思いに駆られ、ついに由美は、

「あはぁ…んっ…くぁ…っ……いゃ…ダ…ダメ…あ…お、お願…い…ああ ん…し、瞬…

いじわる…しないで…よぉ…」

「んぁ…何が…?」

 対して瞬はとぼけた口調で意地悪く聞き返し、そして、この時とばかりに、尖らせた舌

を深く中へ沈めた。

 絶妙のタイミングである。

「ひっ! んああァーッ! アーーーッ!」

 焦れていた反動も相あわさって、迸る激情が熱く全身を包み込み、由美は伸ばした両

手で、股間に置かれている瞬の頭をさらに押し付けるようにして、咽び泣いた。

「んんんっ!くっ……」

 鼻っ面まで押し付けられ、息もままなくなり、さすがに瞬は顔を引き起こす。

 すると、

「あ…ああん…し…瞬……あ…はぁ…はぁ……はぁ…あ…あたし…あたしぃ…」

 大きな乳房の向こう側、潤んだ目で何かを訴え掛ける由美の顔があった。

 むろん、その目が何を訴えているのかは直ぐ分かる……が、

 ……ふふーん、言いたいことはわかるけど…☆

 と、心の中でほくそ笑み、瞬は極めて涼しい顔で、

「だめ。さんざん、挑発してくれたんだから…一回くらいは由美の恥ずかしいところ見せ

てもらわねーとな…

 そう言って、再び顔を埋めた。

「え…? な…何言って……こ…これ以上…ああああっ!」

 …どんな恥ずかしいことがあるのよ!

 そう言い返そうとした由美の言葉は完全に打ち消された。

 再び始まった、今度は正確にそのポイントを突く瞬の舌の動きによって。

 さらに瞬は左腕で由美の片足を担ぎ上げるようにして、外側から回した手のひらを乳房

へともっていく。

「んああ…っ…や…やだ…あ…あたし…す…すごい…かっこ……ああっ…はぁぁぁん

っ!」

 自らのあられもない格好におののくいとまもあらばこそ、

 途端に始まる瞬の手のひらの愛撫に、由美の声はまたしても言葉にならない。

 そして瞬は、濡れそぼった『上』の突起を舌で転がしつつ、空いたほうの手…右手の中

指を立て、熱く溢れ返っている泉に、ゆっくりと沈み込ませていった。

 …ず…ずぷっ…

「ひ…ひぁぁぁぁぁっ!!」

 凄まじい衝撃が、由美の身体を突き抜ける。

 本当に、意識がどこかに飛んでいってしまうかのように思われた感覚であったが、わし

づかみにされ、もみくちゃにまさぐられる乳房の感触が由美を現状へと引き戻す。

 そして瞬のとどめの『攻撃』が始まった。

「ほら…これで………ん…っ!」

 限りなく優しく、囁くように聞こえた瞬の声だが、その行為はそんな生易しいものでは

なかった。

 小刻みに震わせる舌が、乳房をまさぐる指先が、共に『両方』の突起を執拗になぶり

回す。

「ひ…ぃゃぁぁぁ…っ! ほ…ほんと…にもう…だ…だめぇぇぇーっ!」

 上下の一番の敏感な部分に同時に電気を流されているような感覚に囚われ、絶叫に

近い喘ぎ声を上げる由美。

 だが、まだ!

 瞬は、奥深くまで沈み込ませていた指を鉤状に折り曲げ、中の『上の壁』を擦るように

掻き出すような動きに変えた。

 …ざりざり……

「ひゃ…あ…ひッ!?」

 中からえぐられているようなこの強烈な感覚は、もちろん今の由美には決定的なもの

となり、そしてとうとう、

「あ…あく…っ!ひぁぁぁっ!や…だめ…それすごいぃっ!ああああ…ッ!い…い……」

 根元まで沈めた瞬の指がいっそう締め付けらると同時に、

「い…く……イッちゃ…ああああああああーッ!」

 今度こそ、由美は部屋中に響く絶叫を上げ、果てた。

 

(6)へつづく。

 

 

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