ホワイトルーム・4

Milkey Night〜帳の降りたサーフライダー〜

 

(8)

 ど…っ!

「……くぅ…っ!」

 それでも俺は、先生の身体を潰さないよう、寸でのところで両手を床に突っ張り、

先に倒れた先生の背中を目前にして、なんとか押しとどまった。

 その一方、まともにカーペットに突っ伏した先生は、

「んっ…痛ゥ…」

 倒れた際にどこかにぶつけたか、額を押さえつつむっくりと顔を起こす。

 また同時に、―イタかったけど、どーにかこれでひとまず俺から逃げられた――。

 という意味だろう、苦笑とともに安堵の息を漏らしつつ、

「……ふぅ…いたた…。」

 四つん這いになって、うつ伏せになった身体を起こしかける。

 だが……そこで、

 ず…んっ!
 
みたび
 三度、先生の身体に衝撃が突き抜ける。

「ひあぁっ!?……え…?や…な、なんで…?……んっ…んくぅぅっ!」

 居るハズのない『俺』をまさに身体の中心に感じ、驚愕の表情で振り返る先生。

 そう、あいにく俺の腰はいまだ離れてはおらず……俺たちはまだ繋がったままだっ

たのだ。

 くすくす…☆

 俺は内心してやったりの表情を浮かべつつ、先生の驚愕に応えるように、沈めた

腰を軽く打ち出す。

 ずん…ずん…

「んうぅっ…だ…だめ…ちょ…やめなさ……あぅっ…べ…ベッドに行ってから…って

言っ…ひあぁ…っ!」

 嗚咽交じりに咎めの言葉を口にし、怒った表情を見せようとする先生だが、要所

要所でイジワルく突き上げる俺の動きにそれもままならず。

 また、そんな仕草が、かえって先生のカワイらしさを強調してしまい…

「くすくす…じゃ、早くベッド行こーよ☆ほらほら…」

 俺は、イタズラっぽい笑みを浮かべつつ、急きたてるように腰を突き、先生のお尻

を押し上げる。

「んくぅぅっ!…や…ぁ…っ…そ…そんな…ちが…そ…そーじゃなくて……んぁっ!」

 間断なくやってくる刺激に、喘ぎながら何をかわめく先生だが、

「いや…『そーじゃなくて』はいーけど……動かないとベッド行けないよ。あ…それとも

…ココでしちゃう…?」 

 と、またもイジワルく言う俺の言葉に、

「んあっ…え…?い…いや…ぁ…こ…こんなトコ………」

 部屋の出入り口付近…薄暗く狭い通路を見回して、あからさまに嫌悪の表情を見

せる先生。

 そしてなにやら、一刻も早くこの場を離れたい様相で、

「…んっ…くぅっ!…んんっ…」

 先生は四つん這いのまま、両手両足をゆっくりと踏み出し、カーペットの上をまさに

這うようにして、ベッドを目指し始める。

 そして俺も、白くぷるんとしたお尻にぴったり密着しながら…立てひざの姿勢でずり

ずりと、先生の後にくっついていく。

 かくて―――

 身体から流れ落ちる汗と残り湯をぽたぽたと、毛足の長いカーペットの上に垂らしつ

つ、ベッドを目指してゆっくりと進みゆく俺たち………。

「んあっ!?んっ…くうぅ〜〜っ!」

 道中、歩みの振動から深々と突き立てられ、しなやかな先生の身体が伸び上がり、

豊かなバストがたぷん…と弾む。

 また、そんな不規則なリズムで襲い掛かってくる感覚から逃れるように、先生は、

苦悶に顔をゆがめつつ、震える両手…そして両足を踏み出し、必死に前進を試みる。

「んん…っ!んうぅ……っはぁ…っ…はぁ…っ……」

 だが、早く逃げようとすればするほど、歩みの振動はより激しくなり、

「はぁっ………んっ!んあぁっ!?」

 またやはり、繋がったままのこの体勢…強烈な快感と戦いながらでは、うまく身体を

動かすことができないのであろう、

「んくぅぅぅ………くっ…くふ…ぅ…はああぁぁ……」

 耐え切れずその場にうずくまり、先生は苦悶の喘ぎに震えて、カーペットに顔を伏す。

 だが俺はまったく容赦なく。ここぞとばかりにさらに先生を突き立て、

 ずんずんずんっ!

「ひぁ…っ…あ…あ…ひぃぃぃぃっ!」

 首を振り上げ、悲鳴と共に再びスイッチが入ったかのように身を起こす先生。

「はっ!…あはぁっ!…や…いやぁっ!!」

 再度、俺から逃れるように震える手足を踏み出していき…………………。

 ―――と、こんなことを繰り返しつつ……

 俺たちは繋がったまま、まさに牛歩の歩みでずりずりと這い進み、通路からカウン

ターキッチンの脇を通り抜け………部屋の中央を横断し………

 やがて、

「……ん…はあぁっ…。」 

 熱く荒い息を吐きつつ、彼方の助けを得るように、震える手を虚空へ伸ばす先生。

 その右手に、ようやく辿り着いたブルーのベッドカバーを握り締めて。

「ん…んくっ!くぅぅっ…っ!」

 渾身の力を両腕に込め懸垂の要領で。あたかも高い塀を乗り越えるようにベッド

に這い上がる先生。

 そのまま前に倒れ込む勢いでベッドに上半身を預ける……が、

「ん…あ…あ…ぁぁぁ〜…」

 あまり力が入らない上、下半身に『俺』という付属品がついてるため……再び呼び

戻されるように、ずるずるとずりさがってしまう。

 ……お。いかんいかん。お手伝いしないとね☆

 などと思いつつ、俺は、ぐったりとベッドにしがみつくような格好になっている先生

の両脇に手を差し入れ、

「ん…っ!」

 そのまま先生を引き起こすようにして立ち上がる。

 そう…もちろん繋がったままの腰にも力を込めて。

 ………ずっ……。  

 立ち上がる勢いで、俺のモノがさらに奥深くへと突き刺さり―――

「っ!?…んああああああっ!!」

 激しく身をのけ反らせ、ベッドに倒れこんでいく先生。

 そして俺も、そんな先生に離されまいと、伸び上がった先生の背中に顔を押し付け

しがみついて、ベッドに…いや、先生に乗っていく。

「…ひっ!?…え…?…い…いや…ちょ…休ませ…んああぁっ!」

 紅潮し切った驚愕の表情で振り返りつつ、俺の戒めから逃れようともがく先生。

 だがむろん、それは聞けない相談。

 なにしろ、心地よいエアコンの冷気とやわらかなベッドに包まれて、俺ののぼせた

頭もやや気怠さを覚えていた身体もすっかり復調し……もぉ、イロンナやる気に漲って

いたのだから。

 俺は震える先生の両手首を握り締め、

「んっ!」

 あらためて繋がる腰に力を込めて、深々と突き入れる。

 腹の下…股間あたりで先生の柔らかなお尻が押し潰される感触。

 次いで、

「ひぁ…っ!んあああああぁっ!」

 狂おしい先生の嬌声が部屋中に響き渡った。

(9)へつづく。

 

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