甘い欧州旅行

第五章

激夜(バーニングナイト・イン・ローデンブルグ)

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 スイスを発った俺たち。

 一行を乗せたバスはその後ドイツの国境を越え、速度無制限の高速道路、アウ

バーンを通り、ドイツ最初の宿泊地、『ローデンブルグ』に到着した。

 

「へぇーっ☆ いいなぁ…この感じ…」

『ローデンブルグ』は中世の町並みがそのまま残ったような小さな町で、この趣溢

る雰囲気に俺の心は躍っていた……のだが、

 少々、躍り過ぎたようだ。

 皆で繰り出したロールプレイングゲームに出てくるような酒場にて、俺はついつ

その雰囲気に酔い、ついでにその口当たりの良いドイツワインを飲み過ぎてしま

い、早々と部屋に戻される始末となった。

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 「……うーん…」

 軽い頭痛とのどの渇きで、目を覚ました俺。サイドテーブルの時計に目をやれ

ば、デジタル表示は9時5分を示していた。

 一瞬、朝まで眠ってしまったかと驚いたが…

 ほっ。

 窓の外、月明りを見て安堵の溜め息を漏らす。

 …にしても、喉がカラカラだ……おっ。

 喉のあたりを押さえつつ体を起こすと、ドレッサーの前の机に氷が解けて水滴を

たくさんつけた一杯のグラスが目に入った。

 俺はすぐさまそれを手に取ると、アルコールではないことを確かめ、一気に喉へ

流し込んだ。

 う、美味い…!

 ほどよく冷えた氷水は渇き切った俺の喉を心地好く潤していく。まるで身体中の

細胞一つ一つに染みわたっていくようであった。

「ん…? 何だこりゃ…?」

 喉の渇きもひと段落し、煙草に火でも点けようとしたとき、俺はグラスの脇に置か

れた一枚のメモに気付いた。

《さやかさん達と町へ出る…どこへいくかはわかんないから、お前は部屋でおとな

しくしてな……あ、洋子さんは部屋にいるぞ じゃぁな。》

 …ふーん、凌の奴、なかなか気が利くな。……にしても、(アイツ)のキャラに、

はあと マークはどうかと思うぞ。俺は………。

 ともあれ、俺は手ぐしでさっと髪を直すと、部屋の出口へと向かった……

 

「激夜」(2)へつづく。

 

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