ハート・オブ・レイン
              
〜第3章 雨いまだ止まず〜

*注;このお話は前作「ハート・オブ・レイン〜はじめての甘熱雨〜」の続編です。
前作を読んでない方は、なるべくこちらからどうぞ☆

(1)

 そして夜も更け………、

「ね…ねえ………あ…あのさ……」

 ちょうど二度目の火照りが鎮まった頃だっただろうか、

 仰向けに天井を見詰めたまま、なにやら言いにくそうに言葉を発する勇樹。

 美沙は枕にしていた勇樹の胸からそっと顔を起こし、

「ん…なあに…?」

 満面に浮かべていた安堵の表情のまま、勇樹を見つめる。

「あ…あー、ん…んと…あの……そ…その……」

「なに…どしたの?」

 口ごもる勇樹に対し、不思議そうな顔を浮かべる美沙。

「あ…いや…その……えっ…と、ど…どーしたら…河合さんも気持ち良くなれるの…

かな〜?…なんて……」

 努めてカルく言ってるよーだが、見る間に染まる頬がかなり意を決して言った事を物語

っている。

 そう、一度目はともかく、勇樹は二度目も美沙を満足させることはできなかったのだ。

「……え?」

 そして美沙もまた、ぽっと顔を赤く染め、

「え…あ…そ…そんな…の、き…気にしなくていいのに……」

「いやでも…だって……な…なんか悪くて…さ…」

 なにやら、おどおどした態度で言う勇樹に、

「あ…あはは…そんなことないよ……だって…初めてなんだし…そ、そーゆーのは、しょ

ーがないんじゃない……?」

 苦笑を浮かべ、ややどぎまぎしつつ、ともあれ宥めるように言う美沙。

「で…でもさー」

 だがそれでも、勇樹は納得しない顔で、何やら真剣に思い悩んでいる様子。

 そんな勇樹に、美沙は恥じらいもよそに、なんだかおかしくなってしまう。

「………ぷっ……くすくす……」

「な…なんだよぉ」

 思わず漏らしてしまった美沙の笑い声に、やや憮然と口を尖らせる勇樹。

 そして……

「……みれば…」

「……え…?」

 天井を見詰める視界に、突然美沙の顔が現れ、またふわりと頬に流れ落ちてきた

柔らかい髪に気を取られ、勇樹は言葉を聞き逃していた。

 美沙は変わらず優しい笑みを浮かべながら、軽く唇を合わせ、

「んふふ……だから…今度は勇樹くんの好きなよーにしてみれば…って言ったの。

 あたしを気持ちよくできるようにさ……☆」

「え…え…?」

 そう言っていたずらっぽく微笑む美沙に、戸惑う勇樹。

 言われた意味は……何となく分かるが……。

「え…えーっと……あの……」

 真っ赤な顔で困惑深める勇樹に、美沙は苦笑交じりの軽い嘆息ひとつつき、

「だからぁ…勇樹くんは…あたしのこと大事にしてくれすぎるんだよ……。

 だめ…って言われたコトは、もうそれ以上しないでしょ…? あのね…半々なんだよ…

そーゆーとき……」

「…え……?」

「だから…今度は、ダメって言わないから……。勇樹クンの好きなように……ね…☆」

 言って美沙は、ころりと勇樹の上から身体を転がし、タオルケット包まりつつ、仰向

けになって目を閉じた。

「え…?」

 しばしの躊躇。

「あ……う…うん……」

 そして勇樹は、戸惑いながらも、美沙の身体に覆い被さっていった……。

  

 挨拶代わりの軽いキスを幾度か交わし、

「ん…」

 やや遠慮がちに首筋に唇を寄せ、乳房に手を添える勇樹に、

「んん……あ……。も…もーちょっと強くしてもいい…よ…」

 甘い溜め息交じりの声を漏らす美沙。

(…どきどき…)

 緊張と興奮が甦り、にわかに高まる勇樹の鼓動……といっても、この辺はすでに経験

ずみの過程。

 さほど動揺することなく、また……

『…好きなように……』

 先程美沙が発した言葉が頭を巡り、魔法の呪文のように勇樹の躊躇や遠慮を殺ぎ

落としていき、

「ん…ぅうぅぅ〜ん……」

 くすぐったいような美沙の甘い声と共に、その動きは徐々に大胆になっていく。

 勇樹は、両手で円を描くようにその豊かな乳房をこね回しつつ、

「はぁぁ…ん…」

 その先端の突起を口に含み、舌で転がしつつ強く吸ってみる。

「ひぁぁっ!」

 ドキッ…!?

 顕著な美沙の反応に、今一度戸惑ってしまう勇樹。一瞬動きを止めるが、

「あ…はぁ…☆い…イイ…よ……それ……」

 本当は死ぬほど恥ずかしいが、勇樹を止まらせないため、あえて言葉にする美沙。

「え…?」

 甘い吐息に混ざった美沙の言葉により、勇樹の硬直が解かれ…。

 さらに、

「あ…あぁぁ…ん……ゆ…勇樹くん……も…もっとぉ……」

「あ…う、うん……」

 鼻にかかるじれったいような美沙の声に後押しされ、動きを再開する勇樹。

 そしてまた、美沙も自ら発した言葉によって、彼女自身の興奮も高まっていく。

 やがて……

「ん…はぁ………あ…」

 勇樹の舌はなだらかな乳房の斜面を下り、徐々に下へと伝い始めていた。

(……あ……)

 むろん美沙に勇樹の狙いは分かった。また、乳房をまさぐる手の動きが緩慢になって

きたことからの彼の迷いも伝わってくる……。

 かーっと、込み上げてくる猛烈な恥ずかしさに包まれ、

(……っ…。)

 美沙は、すでに下腹部辺りにある勇樹の頭に両手を伸ばす。

「……っ!(びくっ…)」

 後頭部に美沙の手の温もりを感じ、より躊躇の気配をあらわに、肩を震わせ動きを止

める勇樹。

 おそらく、ここで美沙がダメ出しすれば、勇樹はこれ以上進めなかっただろう。

 美沙の心中に深く熱い困惑が巡る……

(う…あ……ほ…本気で…は…恥ずかしい…よ………)

 だが…積み上げられた興奮と勇樹への想いが、寸でのところで迷いを断ち切り、

「…ゆ…ゆうきくん…っ」

 美沙は、震える手にぐっと力を込め、勇樹の頭を下へと押し下げた。

 そして、

(……う…うん…。)

 そんな美沙の想いに、胸の内でうなずきつつ、

 またひとつ戸惑いを解きほぐされた勇樹は、爆発しそうな胸の高鳴りを抱えつつも

徐々に頭を下げていった。

「んっ……」

 やわらかな草むらをかきわけ……勇樹は、そっと…その部分に、唇で触れてみる。

 ちゅ…☆

 自分でも触れたか触れないかくらいの、おぼつかぬ感触だったが、

「ひぁぁ…っ!」

 美沙は、勇樹の予想以上の過敏な反応を示す。

(あ……☆)

 ちゅ☆ちゅ☆

 そんな美沙の反応が、なんだか面白くなり、勇樹は何度もその周辺に軽いキスを

繰り返す。

「あ…はぁっ!…や…やぁぁん……」

 ちらり目線を上に向け、美沙の様子を伺えば、恥ずかしいような困ったような表情で勇

樹を軽く睨んでいた。

(〜っ……☆)
                                  
イタズラ
 そんな美沙をたまらなく愛しく思うと同時に、込み上げる戯謔心……

 思いに拍車がかかり、勇樹は伸ばした舌先で、つぅ〜っ、とその部分を舐め上げる。

「あ…や…やめ…んぁぁ…そ…そんな……はぁぁん…」

 震える美沙の身体に軽い抵抗の力が入るが、もはやそれに気付かぬほど、勇樹の

興奮は高まっていた。

 恥辱に包まれる美沙の思いを反映するように、左右からおずおずと迫ってきた太もも

を両手で制し、なお深くその部分に顔を埋めると、

「あ…や…やだ…ぁ……」

 熱き潤いに満ちる泉に、ゆっくりと舌を捩じ込んでいく。

「んあぁ……い………やぁ……あ…はあ…あっ……あああぁぁ〜〜っ!」

 異質なものが入り込んでくる感覚に、驚き混じりの嬌声を発し、大きく身をのけ反らせ

る美沙。

 一方、勇樹はさらに舌をくねらせ、ぬめぬめと美沙の中を進みゆく。

 その感触は、およそ表現できない柔らかなもの……

 あえて表現するなら、すでに幾度か経験した美沙とのディープキス…それのしごく窮屈

なもの、と考えれば良いだろうか。

「んっ…んっ…んあぁ……はぁぁぁぁぁぁ………」

 悩ましく腰をうねらせ、歓喜の色濃い甘いため息を漏らす美沙。

 勇樹は、さらに沈み込ませた舌を出し入れし、まさに食べるように、「美沙」を貪る。

 …じゅんっ。

 たちまち奥の方からあふれ出る熱い蜜…。

 貪る勇樹の唾液と相まって、美沙の泉はよりいっそう潤いに満ちてゆき……

 ちゅく…ちゅくっ……。

「あ…やぁ…あっ…くぅぅ…ん……あはぁ〜〜っ…

 自らの身体が立てる淫らな水音が耳に届き、それをかき消すように声を上げる美沙。

 だが、それもまた自分で思ってた以上に淫らな声であり、かえって恥ずかしさは倍増

する。

「んぁぁ…っ…ゆ…勇樹くん……だ…だめ…あたし……んああっ……」

 耐え難い恥辱と快感に包まれつつ、びくんびくんっ、と大きく身体を震わせる美沙。

(……あ☆)

 切羽詰まった美沙の声を聞き、さすがに勇樹もその時が近いことを知る。

 太ももを押さえ付けていた両手を乳房へと移し、その突起を左右同時に弄ぶ。

「んああっ!?…やっ!あっあっゆ…勇樹くん…ゆうきくん〜っ!!」

 昇りつめていく美沙。

(もうすこし……なのかな……)

 勇樹はさらに捩じ込む舌に力を込め……中を掻き回すように蠢かせる。

 加えて、両手で弄ぶ指にも力を込め、くりくりと摘みあげるように……

「んあっ!? い…いやっ!あっ…あっ…あっ………はぁぁぁぁぁ〜〜っ!!」

 とぎれとぎれの嗚咽。そして長く尾を引く嬌声を発し。

「んああああぁぁぁ〜っ

 びくんっ!と一際大きな震えと共に、美沙の小さな身体がしなった。

  

  

(2)へつづく。

 

 

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