甘い欧州旅行

甘美な光に包まれた女神(ヴィーナス)

(2)

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 湖岸を離れ俺たち二人は、凌たち同行者に見つからないよう、一時別々に行動

し、パレ ードの喧騒に紛れた後、ホテル内のエレベーターホールで再び落ち合っ

た。

 たとえひとときでも、離れた間がどうしようもなく切なく感じたのは、俺だけではない

だろう。

 「あ…んんぅふっ!…あ…ふ…んんっ! 基明ク…ン……基明…クンっ!!」  

 エレベーターの中、わずか数分にも満たないその間も惜しむかのように、俺たち

は絡み合い、激しく互いの身体をまさぐり合った。

 やがて、到着階に着くと、互いに乱れた服のまま、俺たちは駆け込むように美恵さ

んの部屋に飛び込んだ。

「もういやっ、ガマンできないっ!」

 後ろ手でドアを閉めるや否や、勢い良く俺に抱きついてくる美恵さん。

 俺もそれに応えるべく、優しく美恵さんの身体を受け止め、すぐさまセーターの裾

から手を差し入れると、一気にそれを捲り上げ、彼女の頭から抜いた。

「アッ? …やッ…!」

 ちょっと、強引すぎたのか。美恵さんは驚いて恥じらいの表情と共に胸を両手で覆

った。

 …ぷっ☆

 可愛くもコミカルな美恵さんのその仕草に、俺は思わず吹き出してしまった。

「くくくっ…ちょっとちょっとぉ、美恵さあん、そーいうのは、10代の若くて純真なコが

やる仕草だよぉ……美恵さんがやるにはちょっと………」

「! な、何ですってぇ…?」

 俺の言葉で、美恵さんの顔は恥ずかしさから違う意味での紅潮が加わり、真っ赤

になる。

やべ。 ちょっとシャレになんなかったか・・・? んだけど、ハタチだろ、んなムキな

る歳じゃねーだろーに・・・あれ?ひょっとすると「純真」ってトコで腹たててんのか?

ったく、んなこったから・・・・・

 などと、俺が考えていると、

「もう! ゆるさないから!」

 怒気のはらんだ口調で、美恵さんが拳を振り上げていた。

「おっと!」

 だがしかし、俺は振り下ろされたその手を取って、身を返すと美恵さんを強く抱き

締め、そのままベッ ドへ押し倒した。

「あん…っ! だ…だめ、ず…ずるいっ…よ……」

「へへ…美恵さんってホントにカワイイ☆」

「な…何、言ってんの…あ、あたしのほうがと、年上…アアッ! なのにィ……」

 俺の台詞に抗議の声を上げる美恵さん。

 …ったく、この期に及んで、まだンなこと言うか。このひとは。

 相変わらずの美恵さんの態度に苦笑する俺。だが、それでも、指や舌で愛撫を重

ねていくことは、もちろん忘れない。

「んじゃ、まずは昨日の復習から」

 言葉通り、俺は美恵さんの感度を確かめるように、指と舌をそれぞれのポイントに

這わせていった。

「あああっ!…そ…そう、いい……あ…そ…それ…も…、はぁ…んっ…基明…クンっ

…!」

 俺にされるがまま、身体を震わせ、その刺激に悦びの声を上げる美恵さん。

 その間、俺は美恵さんに気付かれぬよう、そろりそろりとジーンズのボタンを外し、

そこから一気に、ジーンズを抜き去った。

 美恵さんのすらりと長い足、形の良いお尻が露になる。

「やぁん…っ…!」

 反射的に脚を閉じようとする美恵さん。だが、それを許すはずもなく俺は、

「ふふーん、だめだよ。美恵さん、おとなしくしてなきゃ……」

 美恵さんの両脚を強引に開いて顔を埋めた。

「やっ! あっ! だ…だめえ……」

「美恵さん…、これもいいんだよ……」

 言いつつ、淡いかげりを見せる白の布地に熱い息を吹きかける。

「ゃ…はぁッ…! はぁぁぁん…! あふぅ……ん……」

 恍惚の表情を浮かべ、甘く長い吐息を洩らして身体をくねらせる美恵さん。

 ほどなく、美恵さんのその部分は湿り気を帯び、中が透けるように染みを広げて

いった。

 …くす。ほんと、美恵さんって、やりがいあるよ。

 軽く微笑んだ後、俺は少し布をずらして舌を中に差し入れ、上下に動かしてみた。

「アッ…くぅぅ…っん、はぁ…はふっ…ああんっ! はあん…っ!」

 狂おしく鳴き、美恵さんは俺の頭を押さえ付ける。

 …ぐっ!

 ちょっと苦しかったが、俺は美恵さんの要求に応えるべく、さらに奥深くへと舌をね

じ込んだ。

「アッ!! アァーッ! やっ…い…イイッ! そ…それっ!」

 息を荒げ、美恵さんはいっそう強く俺の頭を押さえ付ける。

 対して、俺はその手を払いのけ、そこから口を放した。

 もちろん、息もままならなくなった、と言う事もあるが、何より美恵さんの過剰な反

応に、俺自身、欲情の高まりを押さえることができなくなっしまったのである。

「え…? な…なに? …やめない…で……」

 悲痛な声で抗議する美恵さん。だが、それを遮って、俺は言った。

「ね…美恵さん、オレにもしてくれる?」

「…………」

 戸惑い、沈黙する美恵さん。  …ま、そういう反応するだろうな。美恵さんなら。  

よって俺は、その答を待たずに股間を美恵さんの顔の前に移動させた。

「え…? あ…ああ……うん」

 ぱんぱんに膨らんだ俺の股間が眼前に迫ると、美恵さんは少しためらいながらも、

小さく頷いた。

「…………あ」

 おそるおそる美恵さんがジッパーを下ろすと、すでに怒張した俺の分身が窮屈そう

に中のトランクスに押さえ付けられていた。

「…あ。んふ。何か可哀相みたいね……」

 美恵さんは優しく微笑むと、それを圧迫から解放させるべく、ベルトとボタンを外し

て俺のジーンズを引き下げた。

 ぶおんっ!!

 そんな音が聞こえてきそうな勢いで、解き放たれたそれが飛び出してくる。

「す…すごい…! おおきい……」

 目を丸くして驚く美恵さん。

 …そっか。俺のモノを間近で見るのは初めてなんだ。けど……そんなにまじまじ見

られると、ちょっと恥ずかしいぞ。

「ほら…、美恵さん、驚いてないで…早く…」

 照れ隠しの意味も含め、俺は美恵さんを促す。

「う…うん…」

 そして、美恵さんは遠慮がちにそれを手に取ると、ためらいながらも口を開いて舌

を伸ばした。

「んん…ど…どこが、気持ち、いいの…ここ…? 」

「ん…、そう。うまいよ…美恵さん…」

 美恵さんは右手でこわばりの根元をしっかりと握ると、先の方だけを口に含み、舌

を使って、転がすように弄んだ。

 やがて、美恵さんの口の中で、俺の分身はさらにどんどん大きくなっていき、時

折、美恵さんの口の奥、喉の壁さえも突くまでに怒張していった。

「んんっ…んむっ!? うぐっ! んく…っ! くふぅ…っ!」

 喉元の刺激に、俺のモノを咥えたまま、せき込む美恵さん。

しかしそれでも、美恵さんは何かに憑かれたように、音を立てて激しくそれをねぶっ

ていく。

 一方、俺はあれだけ激しくしていた愛撫の勢いを急に落としていた。

 だがもちろん、美恵さんの『口撃』に酔って、おざなりにしていたわけではない。  

…第一、もし俺がそんな可愛い輩なら、美恵さんをここまでオトすことはできないだ

ろ?

 そう、巧みに美恵さんを焦らす作戦に入ったのである。

 いわば、美恵さんが一番触って欲しい場所、一番感じる場所は軽くタッチする程度

に押さえ、そこから数ミリずれる点だけを執拗に攻め上げていったのだ。

「ん…っ!、んふぅ……んん…ぁ…あ!」

 思った通り、その効果は的面で、美恵さんは俺のこのもどかしいとさえ感じられる

ソフトなタッチに、眉をひそめ、何かに耐えるように身体をくねらせ始めていた。

「んぐ…ぅ…っ…アグ…ッ…! …ヒッ…ひぁっ…い…いや…ぁっ! も…もう…」  

 どうにもたまらなくなったか、俺のこわばりから口を放す美恵さん。

 ピチャッ…といやらしい水音が立つ。

「ね、ねェ…も…基明…ク…ンッ…! ア…はうっ…もう…ダ…メェーッ…が…がまん

できないよぉっ…! お…お願い…もう…もう…ああッ!」

 なおも続く焦れったい俺の愛撫に、もはや美恵さんは完全に俺の股間から離れ、

全身をのけ反らせた。

 …大成功☆ ……と、待てよ。そうだな……

 思い通りの展開となり、満足げに微笑む俺。このままいっちゃおうかな…とも思っ

たが、ある考えが閃き、美恵さんから身体を離して、ごろりと仰向けに寝転んだ。  

そして、俺は首だけを傾け、ベッド脇を指差し、美恵さんに言った。

「いいよ、美恵さん…でも、その前に、そこに立って美恵さんのカラダ、じっくり見せて

くれない?」

「………え?」

 しばし、美恵さんは俺の言った言葉の意味が分からない……が、すぐに、

「え……あ…そ…それって…?  や…やあ…よ! は…はずかしいもん……そん

なの………」

 真意を悟り、当惑が美恵さんの頬を赤く染める。そして目を見開いて、俺に拒否の

言葉を投げつけ、ぷいっとそっぽを向いた。 

……ま、そう来るだろな。でもね…

「ふーん…? じゃ…いいよ、それならずっとこのままだよ…」

 俺は美恵さんを横目でちらりと見ながら、こともなげに答える。

「え、そ、そんなぁ……」

 慌てて振り返る美恵さん。俺を見詰める目が、どーしてもやんなきゃだめ? と

訴えている。

 もちろん、俺はそれに黙って頷く。

……外道。

「う……。も…もう! わ、わかったわよ……すこしだけ…だからね……」

 俺の態度に臍を噛み、ベッドから下りる美恵さん。

乳房と股間を手で包み、火を吹きそうなくらい赤く染めた顔をうつむかせた。

 ………………

 肌をつたう汗の滴が薄明りの照明に照らされ、キラキラと光を帯びて、美恵さんの

裸体がなまめかしく輝く。

 ……きれい。

 俺は純粋にそう感じた。

 自分で仕組んだこととはいえ、これほどとは……

 幻想的にも思えるその光景に思わず身を起こし、しばし、ぼーっと見とれてしまう

俺。

 「ね…、も…もう、いいでしょ…?」

 沈痛な声で、俺は我に返った。

 見れば、美恵さんは今だ顔をうつむかせたまま、俺と目が合わせられないでいる。

……あ。そうだ☆

 またも、悪魔のたくらみが俺の頭をよぎった。

 

「甘美な光に包まれた女神」(3)へつづく。

 

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