甘い欧州旅行

甘美な光に包まれた女神(ヴィーナス)

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「…ケホッ……」

 口の中で爆発したものに戸惑い、美恵さんは軽く咳きこんだ。

「ご…ごめん…美恵さん。でも、美恵さんすごいんだもん…」

「…んふ…★ 基明クンって、ああいうのに弱いんだね……

 でも…あたしは…まだ満足させてもらってないんだから……ね?」

 美恵さんは妖艶な笑みを浮かべ、まだ濡れたままの俺のモノをまさぐる。

 ……げ? 

「え…? ちょ…ちょっとぉ…! すぐには無理だよ…」

「ダーメ…! お姉様の恐ろしさ、教えてあげる…★」

 少したじろぎつつ言う俺の身体を押さえ付け、美恵さんはゆっくりとその身を重ね

てきた。

 そして、未だ情けなくも驚き顔の俺に優しくキスをすると、首筋、そして胸へと舌を

這わせていった。

「あ…く…み…美恵さん…」

 俺は思わず美恵さんにされるがまま、その快感に身を委ねてしまう。

 ……あーあ、すっかり立場が入れ代わっちゃったよ。でも……ま、気持ちいいか

ら、いいか。

 などと、俺が考えているうちに、美恵さんは俺の胸の中心まで舌を這わせ、そこを

執拗に攻め始めた。

 小さな突起をくわえ、美恵さんはそれをねぶるように舌で転がす。

 ……くぅっ、俺、それ弱いんだよなぁ…

「ううっ…く…」

「んふ、基明クン……女の子みたい……」

 優しく俺のモノをまさぐりつつ、さっきの仕返しとばかりに、からかうように言う美恵

さん。

 …………悔しいが、今の俺に抗う術はない。

 一方、この緩やかな美恵さんの愛撫によって、力なく萎えていた俺のモノは、徐々

に回復の兆しを見せ、やがて、

「ほら、もう元気になってきた…☆」

 すっかり復調した俺のモノを弄びながら、美恵さんが俺の顔を覗き込む。

「美恵さんっ!」

 俺は我慢し切れずに美恵さんを強く抱き締めた。

「あ…んっ…基明くん…」

 負けじと美恵さんも俺の身体にしがみつき、俺たちは互いに離れまいと肌と言う肌

を密着させた。

 ……………………

 やがて、

「も…基明…クン、も…もう…、いいでしょ…い…入れても……」

 俺に抱きすくめられたまま、恥ずかしそうに言う美恵さん。

 俺は無言でうなずいた。

「あ……いいの。基明クンはそのままで……」

 身を起こそうとした俺を制し、なんと美恵さんは俺にまたがり、馬乗りになった。

 ……え? う…上…ですか?

 そして、美恵さんはやや腰を浮かし、すでに怒張しきった俺のこわばりを丁寧につ

かむと、

「あ…ああ…はあぁぁ…んっ…、お…おおき…い…っ!!」

 再び腰を沈め、自らの中へ深く飲み込んでいった。

 小刻みに身体を震わせて身悶えする美恵さん。やがて、ゆっくりとたゆたうように

腰を動かし始める。

「はぁぁっ…あぁっ…はぁ…っ…あ…熱い…ィ…い…イイ……す…スゴ…イッ…」

 俺の胸に手をつき、美恵さんはなまめかしく全身をくねらせ、緩やかに、だが熱く

淫らに燃える……

 ……こんなにも変わるものなのか。

 恍惚の表情を浮かべ、妖しく俺の腹の上で蠢く美恵さんを見るうち、俺はこんなに

も美恵さんを乱れさせた自分の才に、半ば畏怖にも似た戦慄を覚えていた。

 また同時に、あまりにも様変わりした美恵さんに、新たな魅力をも感じ始めていた。

 はっきり言おう、当初ふざけ半分に思い付いた、美恵さんの『女』を目覚めさせる

…と いう俺の計画は、かなり過ぎた結果となって完了した、ということを。

「はあ…んっ! ひあああぁ…! はんんんっ…あふ…んっ! イイ…ッ☆ 」

 などと、あれこれ考えるうちに、さらに高まっていく美恵さんの甘い喘ぎが耳をつ

く。

 ……と、けど…それならそれで、望むところってもんだぜ!

 俺は軽くかぶりを振って、迷いを振り切ると、両手を美恵さんの乳房へ伸ばして、

下から持ち上げるように優しく包み込んだ。

「あ…? あふぅ…そう…いいわぁ……、ね…基明…ク…ン…、あ…あたし…も…も

う…ね……こ…このまま…アッ! い…イッても…アアッ! いい……?」

「…ん…いいよ、オレも…、今日はこのまま、美恵さん…見ていたい…、キレイだよ

………すごく……」

 虚ろな瞳、恍惚の表情で言う美恵さんに、答え、俺は心に浮かんだ言葉をそのま

ま伝えた。

「あ…ん…も…もう、そ…そんなこと……は…はずかしい…よ………はああぁ…ん

っ!」

 俺の言葉で、一瞬理性が戻ったか、恥じらいの表情を見せる美恵さん、だが、うね

る快感の波が直ぐに彼女を情欲の海へと引き戻す。さらにその反動がさらなる大き

な波となっ て、これまで以上に美恵さんはせつなく喘いだ。

 俺はあらためて思い知る……言葉も鮮烈な愛撫の一つ、だということを。

「あはぁ…っ! も…もっと、強くっ! 胸、揉んで……あっ…そうよ! い…いい

…… んはっ! くふぅぅぅぅ…んっ!!」

 なおも深い悦びを求め、悶え狂う美恵さん。

 同時に、俺は急激に腰を突き上げ始めた。

 俺たちが繋がっている部分、そのいやらしい音が極まる。

「くああああっ!! ヒァァァァァッ! ア…アアッ!! だ…ダメっ! お…おかしく…なっち

ゃう!! あ……はぁぁぁぁんっ! いやぁぁぁ…っ! あうっ! はあんっ!!」

 止めどなく溢れる涙が美恵さんの頬をつたい、その歓喜の悲鳴が部屋中に響く。

 すでに美恵さんの下半身は動きを止め、小刻みに震え痙攣していた。

 もう、限界だろう。……もちろん、俺にとっても。

 そう感じた俺は、美恵さんに至上の絶頂を与えるべく、一際大きく腰を弾ませ、美

恵さんの身体が宙に跳ね上がるほど、強く突き上げた。

「エ…ッ? ヒッ! あぐぅっ!! あ…あ…あああああああああああああああーっっ!!

 ……ひぁぁっ!? はうっ!、イッちゃうぅぅぅぅぅーッ!!」

 跳ね上がるとき、そして舞い戻り落ちるとき、と二回に渡って俺のモノに貫かれ、美

恵さんは二度の絶叫を轟かせた。

 震える美恵さんの身体が硬直し…………

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 「…は…ぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 まもなく、消え入るような余韻を残して俺の胸に崩れ落ちた。

 しばらくの間、美恵さんは俺の胸に顔を伏して、微動だにしなかった。

「はあっ…はぁ……はぁ……美恵さん……大丈夫……?」

 息を整えつつ、俺は美恵さんの髪を優しく撫でつつ言う。さすがに、ちょっと心配に

なって。

「……はあっ……はぁっ、………………………ばか。」

 すると、美恵さんは疲れ切った顔を起こし、俺を睨む。

「ご…ごめん。」

 戸惑い、なぜか慌てて謝る俺。

 そして、美恵さんはそれを満足そうに微笑みと、

「……んふ。で・も・ね………………最高☆…だったよ……」

 

 俺たちは再度、甘いくちづけを交わし、互いの身体をいつまでも抱き締めた。

 モントルーの夜……パレードの喧騒もよそに、甘い夜が静かに更けていった。

 

第5章「激夜」へつづく・・・・

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