ロフト・イン・サマー
(5) 「………ぁ…たし…恥ずかしい…」 真子は、剛の顔が見れずに枕に顔を伏せたまま言った。 そんな真子に剛がタオルケットを掛けてやると、真子は少し頭をずらして片目だけ 剛の方へ覗かせた。 「……ありがと。ね…ねぇ、剛…は……?」 「お…俺…? い…いいよ、大体勝手なことしたのは、俺なんだから……」 みなまで聞かずともその意味を悟り、少し慌てて答える剛。 すると真子は身体を横向きにして剛にすり寄ると、なにやら意味深な笑みを浮か べ… 「ホントに……?」 するりと剛のスウェットパンツにに手を差し入れた。 「お、おい…?」 目を閉じて仰向けになっていた剛は、驚いて真子を見る。 「んふ……」 真子は上目づかいに、剛を見つめながら股間をまさぐると、鉄のように怒張してい たそれを握り締めた。 「あたしだけ恥ずかしいのなんてずるいよ、だから…剛も……ね」 「あ……」 ひんやりとした真子の五本の指が股間で蠢く感覚に、剛は黙って身を任せざるを 得なかった。 「えへへ……」 剛の身体から余分な力が抜けるのが分かると、真子は指の動きを続けたまま、剛 の胸板の上に顔を乗せる。 「あは…おんなじことしてあげる……」 そして先程自分がされたように、剛のシャツを捲り上げ、乳首にキスをしてその 周辺を舌で舐め回した。 「う…くぅ…ぅ…」 ゆるやかな真子の愛撫は、剛の全身の力、ある一部分を除いてすべて抜けさせて しまった。 自分の指先の動きひとつひとつで、まことしやかに反応する剛……時折、小さなう めき声を上げ、眉をひそめる剛を見ているうち、真子は不思議な喜びを感じ始めて ていた。 (…そんなに気持ちいいの……? あたしの手でそんなに喜んでくれるの…?) 思いを言葉には出さず、剛を見上げる優しい笑みでそう告げる真子。 もっと悦ばせてあげる…… 視線の外し際、目を細めた真子の唇がそう動いたかどうかは、剛には分からなか った。 垣間見せた真子の、『女』の微笑に見とれて…… 「うふふ…」 「え…? あ…!」 一瞬、ぼーっとなっていた剛が次に気付いた時、微笑む真子の表情はいつもの少 女の笑みであった……が。 「ああっ!? ば…ばか…おい…やめろ……」 「ふふーん♪」 驚き慌てる剛に、したり顔で笑みを浮かべる真子。その手には屹立した剛のこわ ばりがしっかりと握られていた。 やけに下半身が心もとないと思ったら、剛のトランクスがスウェットパンツごと足首 辺りまで引き降ろされていたのだ。 やがてほどなく、こわばりを握り締める真子の手がゆっくりと動きはじめる。 「う、うう…、ま…マコ、だ…だめだ……」 押し寄せる快感と戦いながら、剛はなんとか身体をずらし真子から逃れようとす るが、どうにも力が入らない上に、 「だ〜め、逃がさないよ…」 再び胸板に顔を乗せてきた真子にのしかかられ、そう簡単には動けない。 さらに真子は、剛のモノを握り締めた手を時折動かすことで、剛の動きを封じなが ら、徐々に顔を胸から下腹へと下げていった。 やがて、真子はまさぐる手の位置まで顔を下げると、 「こ…こうすると、いいんでしょ…? 友達から聞いたんだ……あ…むっ……」 「うぁ…っ! ば、バカ……」 剛の制止も間に合わず、真子はほとんどためらいもせずに『それ』を口に含んでし まった。 途端にぬめりとした感覚が剛の脳髄を直撃する。 「ま…真子…!? や…やめろ…って…、…くっ…!」 剛は上体を起こして何度も真子を止めようとするが、そのたびに、ねめつける舌の 快感に負け、倒れ込んでしまう。 (だーめ。じっとしてるの……) こわばりを口に含んだまま、目でそう告げる真子。 そして、次第に剛の抵抗する力は失われていった。 …ちゅ…くちゅ…ちゅぶっ…… 剛に抵抗する意識がなくなるのを悟ると、真子は、いっそう深くそれを咥え込み、た だひたすらに、口の中で弄んだ。 それは,、所詮聞きかじりのつたない行為ではあったが、自分の手でする以外の感 覚を知らなかった剛にとって、この上ない…まさしく想像を絶する快感であった。 「……う…っ……ぁ…ぁ…」 あまりの快感に声を出すことさえ出来ず、ただ拳を堅く握り締め耐える剛。 だが、それを違う意味で取ったか、真子はゆっくりと顔を上げた。 「んん…っ、ど…どーしたの、剛? 気持ち良くない?」 心配そうな面持ちで、剛を見つめる真子。 「ち…ちがう…よ……」 「?」 「…き…気持ち…良すぎんだよ……」 真子の誤解を解くため、剛はなんとか声を絞り出した。 「…………あ。 そ…そう…なんだ……よかった……」 意外にも思えた剛の率直な感想に、真子はぽっと頬を桜色に染めて、安堵の息を ついた。そして、照れ隠しのつもりなのか、にんまりとした笑みを浮かべて…… 「えへへ……じゃ、これは…?」 真子は剛のモノを握り直すと、舌先を尖らせて、その先端に円を描くようにぐるぐる と舐めまわした。 「う…ううっ…!」 びりびりと痺れるようなその新たな刺激に、剛の身体が硬直する。 「んふふ☆ もっと……もっとしてあげるね……」 過敏な剛の反応に満足し、真子は再び、先ほどよりもさらに深く剛のモノを飲み込 んでゆく…… いつのまにか、剛の両手は真子の頭を押さえつけていた。 「んっ! んぐっ! んふぅっ!」 息苦しさを感じながらも、懸命に頭を上下させる真子。 …じゅぷっ…じゅぼっ…… 淫らな水音が響く中、剛は得も知れぬ高揚感に包まれていき…… (……!? や…やばい……!) 突然、急速に押し寄せてきた巨大な波に気付き、剛は慌てて真子の頭から手を放 す。 「ま…まこ…っ、だ…だめだっ! もぉ…やめろっ頼むっ!」 そして剛は懸命に真子を引き離そうとするが…… 「ふっふーん、またそんなこと言って……だ〜め、今度は思いっきり吸ったげる☆」 と、真子は、剛の逃げる腰を押さえつけ、大きく口を開けると、言葉通り、思いっき り吸い付いてきた。 …ちゅぅぅぅぅぅぅっ! 「◎△■●×?!!」 まるで、身体がすべて吸い尽くされてしまうような、凄まじいまでの快感が剛の全身 を駆け巡り…… 「う…わぁぁぁっ!」 とうとう、剛は真子に咥え込まれたまま、堅く強張った緊張を解き放ってしまった。 「んっ? んんっ…! んぐっ…!? ケ…ケホ…ッ……」 突然、それが口の中一杯に膨らんだかと思うと、先端からほとばしった何かが喉を 直撃し、真子はたまらず咳き込んだ。 「ゴ、ゴメン……だ…だから…、やめろ…って、言った…のに…」 なんとも気まずそうに謝る剛。傍らに置いてあったポーチからティッシュを取り出 し、真子に渡す。 「ほら……」 「ケ…ケホ…ゴホッ…あ、ありがと……」 「ありがと…じゃねーよ。ったく………………でも…ホント……ごめん…」 「んふ…いいの あやまらないで…」 態度こそ相変わらずだが、未だ沈痛な面持ちの剛に対し、真子は優しい笑みを浮 かべ、剛の身体に寄り添った。 剛はすっと腕を開いて、そこに真子を迎え入れる。 「ふーん、剛の腕…こんなに太くなってたんだぁ……」 枕になった剛の腕をさすりながら感心したように言う真子。 「ま…まーな。運送屋のバイトとかしてっから……って、今ごろ気付くなよ」 「だって、こういうのって触ってみなけりゃ分かんないもん」 「……そっか、さっきは別のところを触るので一生懸命だったもんなぁ……腕なんか に気が回るわけないか」 「……!」 ニタリ…と笑って言った剛のセリフに、真子の顔がぼっと火がついたように赤くな る。 「た…剛ぇ!」 恥ずかしさと怒りで真っ赤になり、拳を振り上げる真子。 「お…っとぉ」 剛は反対側から起こした手で、それをやすやすと受け止め、そのままぐいと真子を 引っ張り、自分の体の上に乗せた。 「え…? あ…ちょ…ちょっと?」 そんな力強さから、改めて剛の成長に驚き、戸惑う真子。 気付けば、何やら神妙な表情で自分を見詰める剛の顔が目の前にあった。 そして、ゆっくりと剛の唇が動く。 「好きだよ。真子……」 ………と。 「………」 「い…いや、なんか順序が逆になっちまったけど……」 「…………」 「や…やっぱ、け…けじめとして……その……」 「……………」 そのままの格好、そのままの表情で固まってしまった真子に、たった今言った言葉 が急に照れくさくなったのか、慌てて言い訳がましく言いつのる剛。 が、たちまち言う言葉がなくなり、 「……ま…真子ぉ…な…何かリアクションしてくれよぉ……このまんまじゃ…は…恥 ずかしくて……んっ…んむっ?」 「……………」 耐え切れず、情けない声を上げはじめた剛に、真子がしなだりかかるように、唇を 重ねてきた。 「んんむっ! んんんっ……」 目を白黒させ、もがく剛は果たして気付いただろうか。 歓びの笑みを浮かべた真子の瞳に涙がにじんでいたことに…… そして、唇を合わせたまま、その口元がかすかに動いたことに…… (あたしも…あたしも、剛が大好きだよ……) と。 胸に置かれた真子の掌の温かさ…… 剛は今までに感じたことのない大きな安堵に心身共に包まれていった………
ロフト・イン・サマー・2へ続く (とりあえず)ごあいさつ(^^; 『ロフト・イン・サマー』、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます☆ 紹介文にもあった通り、さわやかな恋と濃厚なえっち……というきわめて混ざりにく いものを、なるべく違和感なく仕上げたつもりなんですが、いかがだったでしょうか? また、濃厚なえっち…っていうわりにゃ、結局この二人『本番』しなかったじゃん… って思われた方もいらっしゃるでしょう。 でも、ちょっと待ってください。 彼らは、まだバージンとチェリーボーイ。 いくらなんでも、そうそう、うまくコトを運べるとは思えません。 まあ、もっとも、お粗末で、みっともない行為でいいのなら、そこまで至らせることも できたかもしれませんが、少なくとも、私、るますりーといたしましては、出来るなら ば、思い出に残るような、いいえっち(?)……それも、初めて同士じゃ、ちょっと体 験できないような濃厚なやつ(^^;を、経験してもらいたいと、今作ではあえてここま でにしました。 そう、いわば、今作はそのための布石、二人の身体と考え方(謎)の下準備だった のです。 ・・・と言うわけで、このお話はまだ続きます。 次作、H度95%!(おいおい)『ロフト・イン・サマー2』に乞うご期待! |
ロフト・イン・サマー・2へ続く
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